研究分担者 |
齊藤 正樹 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 助教授 (30215561)
小高 正敬 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 助教授 (90016866)
高橋 実 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 助教授 (90171529)
小原 徹 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 助手 (40221858)
矢野 豊彦 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 助教授 (80158039)
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研究概要 |
超長寿命小型安全炉の燃焼及び安全解析を行った。特に自然循環効果を詳しく検討し、UTOP、ULOF及びULOHSの事象に関して、シミュレーションを行ない、設計した炉の安全性を確かめた。 半径2m半径方向反射体厚さ0.5mの鉛ビスマス冷却炉に対して、CANDLE燃焼法の成立性を示した。ここで初期炉心以外は、濃縮や再処理を必要とせずに、天然ウランの40%をエネルギーとして取り出せることを示した。 材料腐食試験のため鉛ビスマス循環ループの試運転を行い、試験部最高温度550℃、流速2m/sのループ性能が達成できることを確認し、電磁流量計の性能上の問題点と対策を検討した。また、鉛ビスマスによる材料腐食に影響を及ぼす酸素濃度の制御技術を開発するため、酸素・アルゴン混合気体及び水素・アルゴン混合気体の注入系を製作し、さらに水蒸気の混合の必要性を明らかにした。ジルコニア・イットリア系固体電解質センサーを用いた酸素濃度検出実験を行い、温度から推定される酸素濃度より大幅に低い濃度が検出された。流体サンプリング法の準備としてループに投入した鉛ビスマスサンプルの酸素濃度測定を行い、およそ10ppmであることを確認した。これにより、酸素濃度検出法の開発が技術的に進展した。SUS430,SUS405,9Cr-1Mo鋼,SUS316,SCM420の試験片を用いて、温度550℃、流速2m/s、959時間の腐食試験を行い、ナトリウムとエタノールで洗浄して重量損失と組成評価(SEM、EDX)により腐食特性を調べた。その結果、クロムを多く含むSUS430,SUS405,9Cr-1Mo鋼では、腐食による重量損失が比較的小さかった。これは表面付近にクロム酸化物層を形成し腐食抑制に寄与したためと推定される。一方、鉛ビスマス中への溶解度が大きいニッケルを多く含むSUS316の重量損失は最も大きく、材料表面の腐食による損傷も著しいことがわかった。腐食速度の実験式に基づく物質拡散材料腐食モデルと物質輸送モデルにより簡易腐食解析を行い、腐食生成物の低温部への析出量の評価を行った。 重金属液体の流動研究として、ガスを吹き込む自然循環二相流の流動特性を実験的に明らかにした。 ロシアのオブニンスク研究所を訪問し、鉛ビスマス材料腐食試験方法及び腐食防止対策について情報交換を行った。またオランダのICENES会議に出席し、研究成果の発表と高速炉及びターゲット系に関する情報交換を行った。
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