鉛及び鉛ビスマス冷却材を用いた高速炉及び加速器ターゲットに関する研究

2001 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 11308017
• 研究機関: 東京工業大学
• 研究代表者: 関本 博 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 教授 (00108242)
• 研究分担者: 矢野 豊彦 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 助教授 (80158039) ; 齊藤 正樹 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 助教授 (30215561) ; 高橋 実 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 助教授 (90171529) ; 松浦 治明 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 助手 (70262326) ; 小原 徹 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 助手 (40221858)
• キーワード: 鉛ビスマス / 材料腐食 / 高速増殖炉 / 固定電解質センサー / 液体金属 / 加速器駆動核変換炉

研究概要

1.超長寿命小型安全炉の燃焼及び安全解析と、ポロニウムの付着・ベーキング挙動に関する実験を行った。
2.鋼材の溶融鉛ビスマス合金による腐食試験を次のように行った。
(1)鉛ビスマス循環ループに2種類の電磁流量計を設置し性能試験を行った結果、MI電極型電磁流量計で最も安定した性能が得られた。
(2)鉛ビスマス循環ループにアルゴン・水素・水蒸気混合ガスを吹き込むことにより、鉛ビスマス中の酸素濃度を制御する技術を確立した。
(3)上記の酸素制御法により、ジルコニア・イットリア系固体電解質による酸素濃度計測の実証試験を行った。その測定値が注入ガスの酸素ポテンシャルから推定される酸素濃度とよく一致した。
(4)鉛ビスマス循環ループを用いて、上記の酸素濃度制御条件下で、高速炉用および加速器駆動システム用構造材に相当する高クロム鋼等の材料腐食試験を、流量:6min、最高流速:2m/s、最高温度:550℃、酸素濃度3.6x10^<-7>wt.%、1000時間の条件で行った。その結果、流入部のSCM420試験片に激しいエロージョン、低クロム鋼SCM420, F82H, STBA26, HCM12、2 1/4Cr-1Mo鋼にエロージョンが認められ、組成評価(SEM, EDX)の結果、SCM420, STBA26, STBA28, SUS316に鉛ビスマスの浸透、ODS, F82H, NF616, HCM12の表面にFe, Crが溶出した鉛ビスマス付着層が認められた。
3.材料腐食のモデルを検討し、分子動力学法により物質拡散・輸送解析を行い、鉛ビスマスと異種金属間の物質拡散現象を模擬できることがわかった。
4.加速器鉛ビスマスターゲットの核破砕生成物について核破砕生成物による毒性評価を行った。
5.以上の研究成果を日本原子力学会、米国原子力学会、加速器応用・加速器駆動核変換工学'01で発表し、第10回国際原子力工学会議で発表した。

研究成果

• [文献書誌] Obara, T., Fujita, Y., Ando, Y., Sekimoto, H.: "Removal of Polonium Contamination on Quartz Glass by Baking"Trans. American Nuclear Society. 85. 49 (2001)
• [文献書誌] Takahashi, M., Suzuki, T., Sekimoto, H.: "Corrosion of Steels in a Flowing Nonisothermal Pb-Bi"Trans. American Nuclear Society.
• [文献書誌] Takahashi, M., Igashira, M., Obara, T., Sekimoto, H., Kikuchi, K., Aoto, K., Kitano, T.: "Studies on Materials for Heavy-Liquid-Metal-Cooled Reactors in Japan"Proc. of 10^<th> International Conference on Nuclear Engineering, April 14-18, 2002, Arlington, Virginia USA. ICONE10-22166. (2002)
• [文献書誌] Takahashi, M., Sekimoto, Ishikawa, K., Suzuki, T., Hata, K., Qiu, S., Yoshida, S., Yano, T., Imai, M.: "Experimental Study on Flow Technology and Steel Corrosion of Lead-Bismuth"Proc. of 10^<th> International Conference on Nuclear Engineering, April 14-18, 2002, Arlington, Virginia USA. CONE10-22226. (2002)
• [文献書誌] Qi, Y., Takahashi, M.: "Computer Simulation of Diffusion of Pb-Bi Eutectic in Liquid Sodium by Molecular Dynamics Method"Proc. of 10^<th> International Conference on Nuclear Engineering, April 14-18, 2002, Arlington, Virginia USA. ICONE10-22236. (2002)
• [文献書誌] Kondo, M., Hata, K., Takahashi, M.: "Design of Material Strength Test in Lead-Bismuth Flow"Proc. of 10^<th> International Conference on Nuclear Engineering, April 14-18, 2002, Arlington, Virginia USA. ICONE10-22736. (2002)
• [文献書誌] Stankovsky, A., Artishyuk, V., Saito, M.: "Radiological Issues of Accelerator-Driven Transmutation of Fission Product 126Sn"Proc. of Accelerator Applications/Accelerator Driven Transmutation Technology and Applications '01. (2001)