海洋環境におけるメタンガスの起源とフラックスの解明

1999 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 11308020
• 研究種目: 基盤研究(A)
• 研究機関: 東京大学
• 研究代表者: 蒲生 俊敬 東京大学, 海洋研究所, 助教授 (70143550)
• 研究分担者: 石橋 純一郎 九州大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (20212920) ; 吉田 尚弘 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 教授 (60174942) ; 松本 良 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (40011762) ; 野崎 義行 東京大学, 海洋研究所, 教授 (70126142) ; 岡田 尚武 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80111334)
• キーワード: メタンガス / 付加体堆積物 / 間隙水 / 硫酸還元 / 炭素同位体比 / ガスハイドレート

研究概要

海洋環境、特に深海底の堆積物中を経由して海洋へ放出されるメタンガスにまず着目した。海底下にメタンハイドレートが広範に分布していると考えられている四国沖南海トラフ付加体の堆積物をヒートフロー付きピストンコアラ―によって採取し、船上で間隙水を抽出した。間隙水中に含まれる硫酸、アンモニア、アルカリ度などを分析した結果、海底下より多量のメタンガスが供給され硫酸還元反応に関与している兆候を見いだした。特に海底の断層面近傍でこの兆候を顕著に認めた。メタンガスの炭素同位体比を計測するため、高感度同位体比質量分析装置を新規購入しその調整を開始した。バイアル瓶に封入した間隙水試料からヘッドスペース法によって気相のメタンガスを回収し、二酸化炭素ガスに変換する作業を進めつつある。一部の試料について炭素同位体比測定を試みたところ、メタンガスはパクテリア起源のごく軽い同位体比(-70〜-100%)を示し、硫酸還元層付近で極小となるような特徴的鉛直プロファイルを得た。メタンガスの起源について、海底下のBSR(ガスハイドレート)分布など音波探査データとも対比しながら、現在考察を進めている。

研究成果

• [文献書誌] 蒲生俊敬: "深海底から地球深部を探る-南海トラフにおけるメタンガスの湧出現象"石油技術協会誌. 64・2. 173-183 (1999)
• [文献書誌] T. Gamo: "Global warming may have slowed down the deep conveyor belt of a marginal sea of the northwestern Pacific : Japan Sea"Geophys. Res. Lett.. 26. 3141-3144 (1999)
• [文献書誌] U. Tsunogai, N. Yoshida, T. Gamo: "Carbon isotopic evidence of methane oxidation through sulfate reduction in sediment beneath cold seep vents on the seaflow at Nankai Trough"Mar. Geol.. (in press).
• [文献書誌] U. Tsunogai, N. Yoshida, J. Ishibashi, T. Gamo: "Carbon isotope distribution of methane in deep sea hydrothermal plume, Myojin Knoll Caldera, Izu-Bonin Arc"Geochim. Cosmochim. Acta. (in press).
• [文献書誌] R. Matsumoto et al.: "Occurrence, structure and composition of natural gas hydrates recovered from the Blake Ridge, ODP Leg164, Northwest Atlantic"Proc. ODP Sci. Results. 164. 268-281 (2000)
• [文献書誌] H. Okada: "Neogene and Quaternary calcareous nannofossils from the Blake Ridge Sites 994,995,and 997"Proc. ODP Sci. Results. 164. (2000)