研究課題/領域番号 |
11308023
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小宮山 真 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (50133096)
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研究分担者 |
須磨岡 淳 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (10280934)
八代 盛夫 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (30192785)
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キーワード | 核酸 / DNA / 制限酵素 / リン酸ジエステル / 加水分解 / セリウム |
研究概要 |
人工制限酵素構築のためには、非常に強固なDNAのリン酸ジエステル結合を加水分解する触媒を開発することが必要不可欠である。この反応に対して、セリウム(IV)水酸化物ゲルが非常に効率的であることがすでに見い出されている。今年度は、主にDNAを加水分解する均一触媒系の開発を行った。Ce(IV)に、ポリビニルピロリドン、デキストラン、EDTAをそれぞれ添加することにより、生理条件下で均一な溶液系を得ることに成功した。この均一溶液を用いると、スーパーコイル状のプラスミドDNAが非常に効率的に切断され、開環状や直鎖状のDNAが生成した。一方、DNAオリゴマーに対して非常に活性の高いCe(IV)水酸化物ゲルを用いると、プラスミドDNAの切断は全く進行しなかった。これは、スーパーコイル状のDNAとCe(IV)水酸化物ゲルとの立体障害が非常に大きく、Ce(IV)が本来有する切断能を示すことが出来なかったためであると考えられる。また、上記の均一系触媒は、DNAオリゴマーに対してもCe(IV)ゲルに匹敵する加水分解活性を示すことを見出した。 上記の均一触媒のなかでも、特に、Ce(IV)EDTA触媒系はEDTAがCe(IV)イオンと強く錯生成することが報告されており、人工酵素の触媒活性部位の有力な候補である。そこでチミジン4量体((pT)_4)を気質として選び、Ce(IV)EDTA触媒系による切断反応を実行した。HPLCにより分析した結果、生成物はすべて加水分解によるものであることが同定された。したがって、この切断反応が加水分解により進行していることが明らかとなった。 このように、均一なCe(IV)溶液を用いることでDNAを加水分解することに成功した。特にCe(IV)EDTA触媒系は人工酵素の触媒活性部位として非常に有望である。
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