研究課題/領域番号 |
11308030
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
近藤 寿人 大阪大学, 細胞生体工学センター, 教授 (70127083)
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研究分担者 |
佐々木 洋 大阪大学, 細胞生体工学センター, 助手 (10211939)
蒲池 雄介 大阪大学, 細胞生体工学センター, 助手 (90263334)
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キーワード | SOX2 / Pax6 / エンハンサー / 中枢神経系 / 水晶体 / プラコード / 分化 / パートナー因子 |
研究概要 |
細胞分化を調節する主要な転写調節因子群であるSOXのうち、特にSOX2に注目して研究を進めた。 SOX2遺伝子発現の開始が、中枢神経系や、水晶体プラコードの分化の開始に深くかかわっている。このことから、これらの組織の分化において、SOX2の発現誘導が、分化誘導の初期反応である可能性がある。そこで、SOX2遺伝子座を含む広いゲノム領域をクローニングし、その領域を断片化して、それぞれの断片をGFPをコードする遺伝子に連結して、初期中枢神経系や水晶体プラコードでエンハンサー活性をもつかどうかを調べた。その結果、SOX2遺伝子の上流と下流に分かれて、初期水晶体及び初期中枢神経系に対応したエンハンサーが同定された。 このように誘導されたSOX2は、単独では転写調節活性を示さない。SOX2蛋白質は、DNA上でパートナー因子と複合体をつくってはじめて、転写活性化能を示す。水晶体におけるSOX2のパートナー因子を、酵母細胞の中での遺伝子活性化反応によってクローニングしたところ、それはPax6であった。Pax6とSOX2を胚の外胚葉で強制発現すると、その場所に、異所的な水晶体プラコードが分化した。ニワトリ胚の中でSOX2とPax6をともに発現する組織、たとえば下垂体原基ではクリスタリン遺伝子が発現されている。更に、ゼブラフィッシュのyot突然変異体は、下垂体原基から水晶体を分化させる。これらのことから、SOX2とPax6がパートナーとして作用することが水晶体分化を開始させることが裏付けられる。
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