研究課題/領域番号 |
11308034
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | (財)実験動物中央研究所 |
研究代表者 |
伊藤 守 財団法人 実験動物中央研究所, 免疫研究室, 室長 (00176364)
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研究分担者 |
日置 恭司 財団法人 実験動物中央研究所, 飼育技術研究室, 室長 (80208735)
今井 裕 京都大大学院農学研究科, 応用生物科学, 教授 (10303869)
河野 友宏 東京農業大学, 農学部, 教授 (80153485)
谷岡 功邦 財団法人 実験動物中央研究所, 霊長類研究室, 室長 (10072406)
下澤 律浩 財団法人 実験動物中央研究所, 生殖研究室, 研究員 (50300786)
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キーワード | 実験動物 / クローン動物 / 核移植 / ミトコンドリア / ヘテロプラスミー |
研究概要 |
本年度は、体細胞クローン技術の実験動物への応用のための基礎検討として、ドナー核の細胞周期と産仔発生能の検討、すなわちドナー核として一般的に使われている休止期(G0)ではなく分裂中期(M)体細胞核を用いた体細胞クローンマウスの作製を試みた。このためCD-1xCD-1またはCD-1xB6E GFP Tgマウスの15.5日令胎児由来繊維芽細胞をM期に同調させ、連続核移植法で実施した。その結果、5匹のメス胎仔が得られ、最終的に2匹が離乳できた。これら2匹は成熟後、オスCD-1との交配で産仔が得られ、繁殖能力および哺育能力が正常であることが確認できた。この一連の実験から、クローン仔の胎盤は正常仔の胎盤よりも重量にして約3倍の顕著な増量が認められた。この現象がクローン仔の作出効率の低下をもたらしてる可能性が示唆された。その他、各系統マウス由来ES細胞株およびin vitro transfectionによるGFP発現繊維芽細胞の核をドナーにした試みを行ったが成功するに至っていない。また、基礎的な検討として、ヘテロプラスミー(クローンマウスで細胞質のミトコンドリア(Mt)でドナーとレシピエントのMtが混在する現象)の影響を検討した。すなわち、近交系マウス(B6)のMtを異種(SPR)あるいは亜種(MSM,SHH)Mtに置換したコンジェニックマウスでの胚発生能をB6胚と比較検討したところ、核とMtとの間には適合性に差違のあることが示唆された。また、疾患モデルマウス(mdx)の前核を異種(SPR)あるいは亜種(SHH)Mtを持つ前核期受精卵に前核置換を行ったところ、亜種Mt卵への核移植では、個体が得られる効率、得られた個体の繁殖性も高かったが、異種Mt卵ではほとんど個体が得られなかった。以上のことから、疾患モデルマウスのクローンの作出には亜種Mtに置換したレシピエント卵子の利用が有効であると考えられた。
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