研究課題/領域番号 |
11309001
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
広領域
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
池田 元美 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 教授 (50261227)
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研究分担者 |
服部 寛 北海道東海大学, 工学部, 教授 (60208543)
見延 庄士郎 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (70219707)
白澤 邦夫 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (50196622)
田中 教幸 海洋科学技術センター, 地球観測フロンティア・国際北極圏研究センター, グループリーダー (10261348)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2002
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キーワード | 北極海 / 温暖化 / 海氷 / 10年変動 / 植物プランクトン / 海洋化学 |
研究概要 |
研究計画の全体を統括するフラットフォームとして、北海の海氷海洋結合モデルを構築した。それをもちいて海氷・海洋の大気変動への応答を調べ、さらに生物化学過程を導入しで生物化学データの示唆する重要過程を解釈する道具とした。気圧分布に北極振動を表わす極渦変動を与えると、観測された海氷分布の10年周期変動を再現することができた。またフラム海峡を通しての海水交換も、極渦強化に応答して増大することを示した。いっぽう北極海モデルでは陽に表わせない重要過程である鉛直対流と高密度水拡散は、高解像度プロセスモデルの結果を用いてパラメータ化し、海氷直下の混合過程は現場観測によって解明した。 さらに海氷が大気に与えるフィードバックにも言及し、北極振動が海氷分布の多寡に応じるメカニズムを提唱した。すなわち、海氷が少ない時は大気により多くの熱量が与えられ、極渦が強化すると、その力学的影響によって、海氷と低温低塩の表層水を北極海から大西洋に押し出し、そのかわりに暖かい大西洋水を北極海に導き入れる。大西洋水は海氷を解かす傾向をもつ。この正のフィードパックと北極海・大西洋の海水交換による振動現象が結合すると北極振動が励起される。 旧ソ連が北極海上のステーションで収集した雲量データを解析し、最近40年で雲量が増加していることを示した。同時期に海氷面積も減少しているが、雲量増加が温暖化に及ぼす影響は、海氷減少によるアルベド低下による影響と同程度である。海氷減少が温暖化の指標であると言われており、温暖化予測モデルにおいても同様の現象が起きていることをもって、予測実験が信頼に足るという主張もあるが、雲量も含めてさまざまな量をデータとモデルの間で比較すべきであることを提唱した。 重要な環境要素であると同時に、温暖化気体のバランスに影響をあたえ、物理過程にフィードバックする生物化学過程に関しては、ベーリング海、バフィン湾、バルト海、サロマ湖における現場観測にもとづいて、植物プランク.トンの優先種を特定し、温暖化気体への影響を調査した。 旧ソ連が収集したHydrochemistry data set(溶存酸素、アルカリ度、リン酸、硝酸、ケイ酸)を解析し、カナダ海盆中で北極表層水と大西洋水の境界が上下していることを示した。極渦の強化に応答してEkman収束が弱まり、境界面が上昇することがわかった。これはモデルを利用した説明に合致している。平均場ばかりでなく経年変動に関しても大気に応答する海洋場変動を記述できたことは特筆される。
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