研究概要 |
一般的に軟鋼基材にCu粉末をプラズマ溶射するとCu粒子の扁平積層皮膜が形成される。しかし、軟鋼基材と同じ溶射条件でリサイクル型PET(R-PET)基材にCu粉末をプラズマ溶射するとR-PET基材表面にCu粒子が表面付近に点在する状態となり、さらに粉末供給量を増すためプラズマ溶射ガンの送り速度を遅くし91.6mm/sとしてプラズマ溶射を行うとCu粒子がR-PET基材内部に液体状態で扁平せず球状に打ち込まれるという現象が認められた。また、538Kの融点を持つR-PET基材より低融点であるSn基材(融点505K)に同溶射条件でCu粉末をプラズマ溶射すると、R-PET基材にはCu粒子が前述したように基材内部に打ち込まれた。これに対してSn基材には軟鋼基材と同様に積層皮膜が形成された。以上のことから、PET板自身は熱伝導率が低く基材表面のみが溶融されこの溶融状態を保持することで、Cu粒子がR-PET基材内部に打ち込まれたと考えられる。一方、Sn基材は熱伝導率が高くプラズマフレームの熱およびCu粒子の熱をSn基材の深さ方向へすばやく移動させ基材表面に溶融状態が保持されず、積層皮膜が形成されたと推測された。 現在,テフロン、PE、PET、バイオポールなどの各種プラスチックに対して溶射を行い,溶射粒子注入現象に対する基材組成の影響を検討している.
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