研究課題/領域番号 |
11309008
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
大森 明 大阪大学, 接合科学研究所, 教授 (50029229)
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研究分担者 |
谷 和美 トーカロ株式会社, 溶射技術開発研究所, 所長研究職
村上 健児 大阪大学, 産業科学研究所, 助教授 (60112067)
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キーワード | プラスチック / PET / ビオノーレ / リサイクル / 溶射 / 粒子 / 表面改質 |
研究概要 |
プラスチックの高機能化すなわち光触媒機能の付与を目的として、溶射により生分解性プラスチックのビオノーレにTiO_2粒子の溶射を行った。プラズマ溶射を行うと、Cuで行った場合と同様にビオノーレ基材内に打ち込まれる形態が顕著に観察された。粒径20〜30μm程度の大きい粒子は未溶融であり、10μm以下の小さい粒子は完全に溶融していることがSEM観察より判明した。また、500Aにおいてパス数を増加させると打ち込み粒子上に皮膜が積層するのが認められた。 X線回折結果によると、電流値350Aの場合では、He圧OMPa時と同様に、PET基材のピークが検出され、完全な皮膜形成には至っていなかった。400Aの場合においても1パスの場合ではPET基材のピークが検出されるが、パス数の増加により完全な皮膜となりPET基材表面を被覆することがわかった。 500Aの1パスにおいて、アナターゼ型TiO_2の存在比が比較的高いのは、比較的粒径の大きな未溶融アナターゼTiO_2がPET基材に打ち込まれているためであった。また、パス数を増加させると、溶融した粒子によるルチルTiO_2の存在比の上昇が全条件において認められた。 一方、高速ガスフレーム(HVOF)溶射を用いると、低温で高速注入が可能であるために、ビオノーレ上にアナターゼ100%のTiO_2溶射皮膜を形成することが可能となった。 有害物質を分解するには、光触媒活性の高いアナターゼ相の存在していることが望ましいために、アナターゼ100%のTiO_2溶射皮膜が得られたことは、学術的にも工業的にも画期的な内容といえる。これらの結果より、アナターゼ相の存在率の高い溶射皮膜の形成が可能となり、環境対応型プラスチックの上に光触媒活性の高いTiO_2溶射皮膜が形成できることが判明した。そして皮膜の形成におよぼす主因子とその影響を明確にすることができた。
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