研究分担者 |
尾形 小霧 岡山大学, 歯学部・附属病院, 講師 (30169172)
岡崎 好秀 岡山大学, 歯学部・附属病院, 講師 (70169100)
松村 誠士 岡山大学, 大学院・歯学総合研究科, 助教授 (00173881)
山本 誠二 岡山大学, 歯学部・附属病院, 助手 (90273995)
壺内 智郎 岡山大学, 大学院・歯学総合研究科, 助手 (80243484)
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研究概要 |
咬合力,咬合接触面積などの咬合状態と全身の重心動揺(平衡機能と関連)更には運動能力や日常生活におけるADLなどの生活機能状態の関係をみるために,幼児から成人および老人のライフステージに分けて調査した。 咬合の状態は口腔内検診およびデンタルプレスケール(富士フィルム社製)から分析し、平衡機能を表す重心動揺は自動姿勢装置VTS-311(Patella社製)でRomberg位にて,開眼,閉眼状態で10秒間測定した。さらにデンタルプレスケールを中心咬合位で咬合する前後にサーモグラフ(Agema社製)で右顎関節を含む側頭部の皮膚表面温度を測定し,咬合することによって活動した側頭筋による皮膚の温度変化を算出した。また,咬合の左右のバランスを比較するために,健康な成人で,両足立ちと片足立ち(左右共)の状態でデンタルプレスケールを3回中心位でかませ各々統計的に検討した。結果,咬合前後の皮膚温度差は女子の方が小さい傾向を示した。また男女とも高学年になるほど有意に小さくなった。一方,重心動揺は女子の方が男子より,また学年が高くなるほど有意に小さかった。成人では,20代は40代以上より有意に小さかった。高齢者では,動機能障害や精神不安定などから測定不能な老人が多く義歯や天然歯との比較も困難であったが咬合の問題を有する高齢者においてはそうでない対象者と比べて全身の平衡機能も低下している事が示唆された。また,健康な成人の全身の重心は,片足立ちの時は,両足立ちより前方に移動した。咬合状態は一般的に左右対称ではないが,片足立ちの時,咬合の中心も移動したが法則性は認められなかった。 以上のことより,咬合状態や機能や咀嚼筋などの発達(退化)により全身の重心や側頭筋の活動が年齢と共に変化する事が証明され,生涯を通じたライフステージごとの咀嚼器官を中心とした健康管理が高齢者のQOLを高める事につながっていくことを示唆する結果が得られた。
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