研究課題/領域番号 |
11309013
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研究機関 | 高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
森 義治 高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 教授 (30124176)
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研究分担者 |
榮 武二 筑波大学, 陽子線医学利用研究センター, 助教授 (60162278)
岩下 芳久 京都大学, 化学研究所, 教授 (00144387)
野田 章 京都大学, 化学研究所, 教授 (20114605)
田辺 徹美 高エネルギー加速器研究機構, 加速器研究施設, 教授 (20013394)
野田 耕司 放射線医学総合研究所, 主任研究員 (80228329)
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キーワード | FFAG加速器 / 強集束 / シクロトロン振動 / アクセプタンス / 速い繰返しの加速器 / MA加速空胴 / ビーム入射 / ダイナミックアバーチャー |
研究概要 |
本年度は、FFAG加速器における世界で初めての陽子ビーム加速に成功した。FFAG加速器は1950年代に電子を加速するモデルが作られたが、幅広い周波数の振り幅が必要となる陽子加速器はコンポーネントの製作上、困難が伴い長い間実現されなかったことを考慮すると、大変に大きな進歩であると言える。研究は、昨年度に製作した加速器の各コンポーネントの特性を個別に測定、テストし、初期に想定した性能を満たしていることを確認することから始まった。特に電磁石の磁場測定と、新型高周波空胴は予想通りの性能を満たし、また、真空容器、ビームモニター等も小さな問題点はあったにしても全体の製作を進める上で大きな支障とはなっていない。こうした個々のコンポーネントの完成の上に、高エネルギー加速器研究機構の実験エリアにおいて、全体組立を行った。同時にイオン源やビームトランスポートの組立も進められた。ビームの入射から周回、そして加速に至る過程も、比較的順調に進んだと言える。入射軌道を作るためのビームバンプ電圧やセプタム電圧は、ほぼシミュレーションを使った計算通りの値が最適と見いだされた。周回周波数、ベータートロン振動の周波数、またその値の電磁石の強さに対する関数形は、測定誤差の範囲内でこれもシミュレーションと一致している。当初、目的とした1kHzの速い繰り返しも、高周波周波数を時間の関数として与えることによって何のフィードバックを組み込むことなく実現された。こうした、基本的な性能の試験の後、2つのバンチを同時に加速する試み、ダイナミックアパーチャーを詳細に測定するためのビーム位置モニターのキャリブレーション等、FFAG加速器の持つ大きな可能性を証明するための着実な研究が進んでいる。
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