研究課題
基盤研究(A)
初年度にあたる本年度の研究は、研究システムの構築と、基礎データの整理を中心におこなった。システムのうちハードウェアは、WorkStationをメインマシンとし、情報収集・分析用のパーソナルコンピュータ、デジタルデータ作成のためのデジタイザ、スキャナから構成される。基礎となるGISソフトウェアには汎用性が高く、広く普及しているAutoCADMap2000を利用し、独自に開発するプラグインモジュールを用いて研究者がデータの利用や新たなデータの追加を簡単におこなえることを目標に開発を進めている。基礎データの整理は、平城宮・京の調査で蓄積されている条坊側溝の平面および標高のデータについての検討をおこない、入力データの形式、方法について決定した。実データについては奈良国立文化財研究所調査分についてほぼ収集・整理を終え、モデル地域として選択した2個所のデータを実際に使用して入出力、分析等の方法の検討をおこなっている。また、用排水系統の検討に不可欠な平城京の微地形をデジタルデータ化する作業も進行させている。これは奈良国立文化財研究所作成の1/l000地形図から等高線を抽出し、これをデジタイザによってデジタル化していくというもので、本研究のみならず、今後幅広い用途に利用できるものである。デジタル化された条坊データ、微地形データについては、早期に成果物として広く公開し、研究成果の普及に努めたい。また、これらの活動については年2回発行したニュースレターに報告し、大学等の研究機関に送付して研究者間の交流の促進と成果のすみやかな公開をおこなっている。