研究課題/領域番号 |
11354002
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
小早川 久 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (50022611)
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研究分担者 |
松本 浩 高エネルギー加速器研究機構, 助教授 (90132688)
吉岡 正和 高エネルギー加速器研究機構, 教授 (50107463)
中西 彊 名古屋大学, 理学研究科, 教授 (40022735)
高嶋 圭史 岡崎国立研究機構, 助手 (40303664)
竹田 美和 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (20111932)
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キーワード | 高周波電子銃 / フォトカソード / レーザー・コンプトン |
研究概要 |
本研究はフォトカソード高周波電子銃によって作られる高密度の電子ビームと短パルス大電力のレーザー光とを衝突させることで、超小型の放射光源を開発する計画の一貫である。本年度はフォトカソードとして量子効率の高いCe2TeとGaAs系超格子の2種類の半導体材料について、これまで継続してきた基礎的な研究のまとめを行った。また、電子銃の加速空洞部に高周波電力を供給するためのクライストロンとパルス電源、マイクロ波立体回路系の運転と調整を続け、クライストロン入力用高周波アンプを接続し最終調整を行った。 (1)Cs2Teのカソードについて、本年度はモリブデン基板上に2種類の方法で成膜し、量子効率、寿命などの違いを調べた。これにより劣化したカソードを再生する方法を確立することができた。、GaAs系カソードについては、各種構造のGaAs/GaAsP超格子をMOCVD法により作製し、フォトルミネッセンス法で超格子ミニバンドのエネルギー間隔の温度依存性を調べた。高い量子効率、高いスピン偏極度が得られるバンド構造とはどのようなものかを系統的に調べた。その結果、偏極度90%、量子効率0.5%と高性能なカソードが得られた。 (2)Cs2Teの量子効率が高い理由を説明するモデルを提案し、電子の効率的な取出の考え方を示した。高周波電子銃は高電界を印加できるので電流密度をあげることができるが、同時に高電界による暗電流が増加し、カソードの劣化など電子銃としての基本的な性能にかかわることがある。本研究では銅表面について、素材、表面の加工精度と処理方法などによって暗電流の発生がどのように関わるかを系統的に調査し、暗電流の低いカソードを得ることができた。 (3)高周波電子銃からの電子線を多層金属箔に斜めに入射し、発生するX線の中で金属箔表面で全反射する条件のものを効率的に取出すことで、小型で強力なX線発生装置とすることが考えられる。モンテカルロコードEGS4により金属箔から発生する電磁シャワーの計算を行い、効率的なX線の取出方法を詳細に調べた。
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