2002 年度実績報告書

極低温電子放射顕微鏡の開発と固体表面への応用

研究課題

研究課題/領域番号	11354003
研究機関	東京大学
研究代表者	増田茂東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (50173745)
研究分担者	境悠治日本電子(株), 電子光学機器技術本部, グループ長(研究職) 青木優東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (50302823)
キーワード	電子放射顕微鏡 / 電子分光 / 表面電子状態 / 準安定原子 / 固体表面
研究概要	本年度は、研究実施の最終年度に当り、電子放射顕微鏡の完成を目指すとともに、顕微鏡解析の指針を得るための各種測定をおこなった。 1.MEEMに用いる高輝度励起原子源は初年度に製作し、最適動作条件を決定した。その結果、〜10^<16> He(2^3S)atoms s^<-1>sr^<-1>という国際的にも最高輝度のビーム強度が達成された。 2.LEEMに用いる電子銃も前年度までに製作した。シミュレーションによる磁場レンズの集束条件を繰り返し模索した結果、実用レベルの性能が得られるようになった。 3.上記の結果によって顕微鏡本体の詳細な制御指針が得られたので、2組の投影レンズ等を新たに導入し、最適な集束条件を決定した。較正標準試料を用いた水銀ランプによるPEEM実験で、シミュレーション通りに結像させることに成功した。空間分解能μm以下で表面現象を捉えることが可能になった。現在、強度の強いLEEMで到達分解能の向上を図っている。 4.具体的な系として、Ni表面の酸化膜形成の実験を始めた。HREELSやMAESによる測定は既に終了している。顕微鏡で得られた2次元像を酸化物の核生成と3次元的成長、あるいは加熱による部分的な酸化過程などの不均一過程と関連させて解析を進めている。 5.なお、遷移金属表面上N_2、CO、H_2oなどの系では表面電子分布が極めて高感度に電子放出強度に反映されることが分かった。これらの成果は論文にまとめて公表した。

研究成果
(7件)

すべてその他

すべて文献書誌 (7件)

[文献書誌] H.Mutoh, S.Masuda: "Spatial distribution of valence electrons in metallocenes studied by Penning ionization electron spectroscopy"Journal of the Chemical Society. Dalton Transactions. 114-116. 1875-1881 (2002)
[文献書誌] M.Aoki et al.: "Interactions of CHCl_3 molecules with a crystalline ice grown on Pt(111)studied by metastable impact electron spectroscopy"Surface Science. (in press). (2003)
[文献書誌] S.Masuda et al.: "Spatial electron distribution of CO adsorbed on Ni(100) and Ni(111) surfaces probed by metastable impact electron spectroscopy"Journal of Chemical Physics. 114. 8546-8554 (2001)
[文献書誌] 増田茂他: "メタステーブル原子電子分光によるNi(100),Ni(111)上CO分子の局所電子分布"表面科学. 22. 443-448 (2001)
[文献書誌] R.Suzuki et al.: "Local electronic states in the topmost surface layer probed by metastable atom electron spectroscopy : N_2 adsorbed and condensed on Ni(111)"Physical Review B. 65. 035416 (2001)
[文献書誌] M.Aoki et al.: "Local electronic states of oxygen on a Ni(111)surface studied by metastable atom electron spectroscopy"Journal of Electron Spectroscopy and Related Phenomena. 114-116. 507-512 (2001)
[文献書誌] 増田茂: "準安定原子電子分光(新訂版・表面科学の基礎と応用,岩澤康裕編)"エヌ・ティー・エス社(出版予定). (2003)

2002 年度 実績報告書

極低温電子放射顕微鏡の開発と固体表面への応用

研究代表者

増田 茂 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (50173745)

研究成果

[文献書誌] H.Mutoh, S.Masuda: "Spatial distribution of valence electrons in metallocenes studied by Penning ionization electron spectroscopy"Journal of the Chemical Society. Dalton Transactions. 114-116. 1875-1881 (2002)

[文献書誌] M.Aoki et al.: "Interactions of CHCl_3 molecules with a crystalline ice grown on Pt(111)studied by metastable impact electron spectroscopy"Surface Science. (in press). (2003)

[文献書誌] S.Masuda et al.: "Spatial electron distribution of CO adsorbed on Ni(100) and Ni(111) surfaces probed by metastable impact electron spectroscopy"Journal of Chemical Physics. 114. 8546-8554 (2001)

[文献書誌] 増田茂 他: "メタステーブル原子電子分光によるNi(100),Ni(111)上CO分子の局所電子分布"表面科学. 22. 443-448 (2001)

[文献書誌] R.Suzuki et al.: "Local electronic states in the topmost surface layer probed by metastable atom electron spectroscopy : N_2 adsorbed and condensed on Ni(111)"Physical Review B. 65. 035416 (2001)

[文献書誌] M.Aoki et al.: "Local electronic states of oxygen on a Ni(111)surface studied by metastable atom electron spectroscopy"Journal of Electron Spectroscopy and Related Phenomena. 114-116. 507-512 (2001)

[文献書誌] 増田 茂: "準安定原子電子分光(新訂版・表面科学の基礎と応用,岩澤康裕編)"エヌ・ティー・エス社(出版予定). (2003)

2002 年度実績報告書

増田茂東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (50173745)

[文献書誌] 増田茂他: "メタステーブル原子電子分光によるNi(100),Ni(111)上CO分子の局所電子分布"表面科学. 22. 443-448 (2001)

[文献書誌] 増田茂: "準安定原子電子分光(新訂版・表面科学の基礎と応用,岩澤康裕編)"エヌ・ティー・エス社(出版予定). (2003)