研究概要 |
本年度は前年度に試作した基本モデルによる観測結果に基づいて,回転地震計の実用化モデルを製作し,その性能評価を行った.基本モデルの段階では,可搬型回転地震計の内部ノイズは8x10E-9 rad/sec(@1Hz)のレベルまで低下させることに成功したが,まだ,当初の目標値である10E-9 rad/secに比べ若干高い状態である.さらに,地震研究所筑波地震観測所で行った試験観測の結果,基本モデルで震央距離150km以内の多くの地震について地動回転成分を観測することに成功したが,観測開始当初において,スパイク上のパルスノイズが頻発した.この状態は安定な観測環境になるまで,1日ないし2日間続き,環境が安定した後でも時々発生していた.実用化モデルでの最大の問題は,このスパイク上パルスノイズを除去することにあった.さらに,実用化モデルでは3軸の回転成分を計測する様に設計されているが,製作経費を節約するため,地震計に用いるレーザーは1個とし,このレーザーからの光を3軸のファイバーに分岐して使用するように工夫した.スパイク上パルスノイズは,ボビンへのファイバーの巻き方を工夫することにより除去することが出来,レーザーを節約したにもかかわらず,基本モデルと同等の性能を実現することが出来た.現在,この実用化モデルの試験観測を実施している.この試験観測においては試作品の性能を確認するため,既にその感度やG感度が確認されている流体ジャイロを用いた高感度回転地震計及び,最近開発されたケミカルエレクトリクスの原理を用いたジャイロセンサーとの並行観測を行っている.
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