研究概要 |
本研究では、ヒト化を特徴づける遺伝子の変化を発見することを目的として、系統的にヒトに近縁な類人猿,特にチンパンジー(chimpanzee)、ゴリラ(gorilla)、オランウータン(orangutan)}の遺伝子の塩基配列の大規模比較を行なった。大規模比較のために必要なライブラリーをゴリラに関して整備した.肝臓組織から精製したDNAを用いて,ゴリラゲノムの3.5倍をカバーする平均長41kbのフォスミドDNAライブラリーを構築した.このゴリラフォスミドライブラリーをPCRスクリーニングして,HoxAクラスターの全領域をカバーするフォスミドクローンを得,ショットガンシーケンス法を用いてほぼl00kbにおよぶ塩基配列をゴリラで決定した。この大規模解析のために,ヒトゲノムの配列とゴリラのショットガン配列を効率よく比較することのできるソフトウェアSMAPのプロトタイプを開発した. また,昨年に引き続き,ヒトと類人猿の塩基配列比較データベースの作成を行なっている。これらは類人猿ゲノム計画Silverのホームページ(http://sayer.lab.nig.ac.jP/〜silver/index.html)ですでに部分的に公開している。一方類人猿の種内変異の探索も重要なので,チンパンジーについては三和化学研究所熊本霊長類パークと共同研究で血液資料の提供を受け,DNAを抽出して,mtDNAやABO式血液型遺伝子を中心にいくつかの遺伝子の塩基配列決定を行なっている。
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