研究概要 |
強磁性トンネル接合を再生磁気ヘッドとしてデバイス化するために、トンネル素子の最適化、微小トンネル素子作製プロセスの検討および再生磁気ヘッドの作製を行った.以下に主な成果を記す. (1)トンネル接合の積層構造、絶縁層の膜厚および熱処理条件について検討した結果、Ta30(Å)/Ni_<80>Fe_<20>(30Å)/Cu(200Å)/IrMn(100Å)/CoFe(40Å)/Al-oxide/CoFe(40Å)/Ni_<80>Fe_<20>(200Å)/Ta(50Å)の積層構造で,250℃-1時間磁界中で熱処理をすることにより,抵抗と接合面積の積が78Ω・μm^2,磁気抵抗比33%の値を得た. (2)フォトリソグラフィーおよびArイオンミリングを用いて3x3μm^2までめ微小トン接合を作製した.トンネル接合上部と電極間のわずかな汚染は2種類のレジストを用いたリフトオフプセスで防いだ.また、電子線リソグラフィーを用いて0.5x0.5μm^2までの微小トンネル接合を作製するプロセスを確立し、加工前の素子特性と比較して損傷のないことを確認した. (3)8ÅのAlを酸化した絶縁層を持つトンネル接合を微細加工プロセスによりフラックスガイド方式の再生ヘッドを試作した.フラックスガイドにはパーマロイを用い,その上にCu(15Å)/PtMn(200Å)/Ta(50Å)をスッパタし,長距離の交換相互作用を利用して、パーマロイの磁区を安定化した.試作したヘッドをヘリカルスキャン方式の磁気テープ再生システムに繰り込み,再生波形を得た.長さ0.1μmのフラックスガイドを持つヘッドの出力は1.75mV_<p-p>で,従来方式(AMRヘッド>に較べ1.5dB高い出力電圧を得た.また、HDD用の再生ヘッドを作製し、10Gbit/in^2相当の出力を得た.
|