研究概要 |
マイクロマシンの実用化は,機械としての信頼性を確保した上で初めて成り立つものであるため,実際に使用されるサイズの機械要素自身の機械的特性・疲労特性の評価手法を確立することが不可欠である.しかし,微小機械要素の特性評価に関する研究の歴史が短いこともあり,機械的特性の標準試験法は未だ確立されていない.そこで本研究では,前年度に開発した超微細放電加工システムを用いて,厚さ50μmの金属薄膜微小試験片の加工条件を検討して,R_<max>=1.0μmの十分に小さい加工面あらさを得ることができ,微小試験片を十分な精度で加工できることを確認した.また,種々の微小引張試験片のチャッキング方法を検討し,超微細放電加工システムの利点である試験片保持部の一体化加工法を用いた試験片形状を新たに考案することにより,比較的容易にかつ効率よく微小材料の引張・疲労試験ができることを示した.さらに,これらの加工システムと前年度に開発したレーザースペックル非接触ひずみ測定システムを用いて,厚さ50μm,幅1mmの析出硬化型ステンレス鋼薄膜微小試験片の引張試験,疲労試験を実施し,機械的特性と疲労に及ぼす試験片採取方向,試片加工方法の影響について検討した.冷間圧延材である本供試材では,試験片採取方向により引張試験における破断ひずみ・破面形態が異なること,試験片採取方向の疲労強度に及ぼす影響は見られないことなどを明らかにした.
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