研究課題/領域番号 |
11355008
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
中島 尚正 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (00011073)
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研究分担者 |
山田 孝弘 (株)アイシンコスモス研究所, 研究部, 副主任研究員
村上 存 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (20212251)
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キーワード | マイクロファクトリ / マイクロロボットアーム / マイクログリッパ / 剛性設計 / 切削力 / 把持力 / 2方向性形状記憶合金 |
研究概要 |
マイクロファクトリの対象ワークの汎用化と更なる小型化を目指し、ロボットアームを用いた新たな加工・ワークハンドリングシステムの提案、試作開発、および実験評価を行った。 通常スケールのエンドミル加工では、発生する切削力に比べてロボットアームの剛性が小さく、必要な加工精度の実現が困難である。しかし、マイクロ化に伴い、切削力は[ε^2]に比例して小さくなるのに対し、ロボットアームの静剛性は[ε^1]で減少するため、あるスケールを境に切削力に対する相対的剛性が上回り、加工精度の実現が推定される。しかし、切削力はマイクロ化にともなう寸法効果により、比切削力の増加が予想されるため、実スケールでのエンドミル切削加工実験を行い、切削力測定を行った。 アルミ、黄銅、ステンレスを被削剤として、132,000[rpm]のエアスピンドルおよび市販のφ0.3超硬エンドミルを用いて切削力を測定した結果、送り量を微小にしても、瞬間値として1300[mN]程度の切削力が生じることが分かった。また、切削周波数に対してロボットアームの固有振動数が十分小さい場合には、350[mN]程度の時間平均荷重に対する静剛性を実現すればよいことがわかった。 マイクロロボットアームの剛性解析を行い、目標剛性の実現に必要な構成要素の仕様を求めたところ、軸受け曲げ剛性10^4[Nm/rad]および関節駆動モータ回転位置保持剛性5×10^3[Nm/rad]が必要であることが分かった。軸受け剛性は、セラミックあるいは超硬材料を用いた背面組合せアンギュラ軸受けにより実現可能な仕様である。 ロボットアーム先端のワーク把持用エンドエフェクタとして、マイクログリッパの試作開発を行った。ワーク寸法に対するグリッパの寸法比が十分小さく(5〜6程度)、切削力の瞬間的最大値以上のワーク把持力および位置保持剛性を実現する必要があり、2方向性形状記憶合金をアクチュエータとして用いて、ほぼ目標仕様のマイクログリッパを開発することができた。
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