研究課題/領域番号 |
11355011
|
研究種目 |
基盤研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
電力工学・電気機器工学
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
戒能 俊邦 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (00281709)
|
研究分担者 |
谷内 哲夫 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教授 (80260446)
小松 京嗣 東北大学, 多元物質科学研究所, 助手 (90261502)
|
研究期間 (年度) |
1999 – 2002
|
キーワード | 電磁波測定 / 電気光学高分子 / 接合光導波路 / トリシアノフラン / 光導波路型センサー |
研究概要 |
本研究は、電磁波強度測定技術として、従来から検討されている結晶材料を用いた技術ではなく、電気光学高分子を用いた技術の構築に関する。特に、極めて大きな光非線形性を有するトリシアノフラン系アクセプタを有する非線形光学分子を結合した電気光学高分子の合成と、その光導波路化、および高分子系の電磁波強度測定材料としての妥当性について報告する。 高い電気光学効果を有する高分子の合成については、高アクセプタ性を有する新規電気光学高分子数種類を合成した。電磁波強度検出用素子として、感度向上の観点からトリシアノ基を有するフラン環をアクセプタとしたアゾ色素をPMMAおよびポリアリルエーテルの側鎖に結合した新規高分子を開発した。ベンゼン環をチアゾール環に置換え、吸収の長波長シフト化による光非線形性の向上を実現した。従来のトップレベルにある類似化合物に比べ、3倍の性能改善を確認した。ポリアリルエーテルをマトリックスとした場合は耐熱性にも優れ、100℃の使用条件でも長期的に安定であるため、電磁波センシング用高分子として信頼性を合わせ持った材料といえる。熱安定性のある電気光学高分子としては、ポリイミドをマトリックスとした系についても検討を行った。 新構成の電磁波検出装置については、電気光学高分子における偏光回転を活用した電磁波強度測定を考え、基本検討として、可視〜近赤外波長領域(650nm〜900nm)での優れた電気光学効果を非線形光学特性評価によって基本構造を確認した。また光導波路型センシングを前提とし、チャネル導波路素子および薄膜導波素子の各々について、基本性能を把握した。 電磁波強度検出用光導波路素子の例として、ポリイミドをベースとした電気光学高分子の光導波路化を行った。光透過性に優れる高分子と組み合わせ、電磁波センシングを行う部分をポリイミド光導波路、それ以外の部分を透明高分子光導波路とする構造を設計・作製した。クラッド用高分子として、紫外線照射による架橋反応で耐熱性が得られるエポキシ樹脂(UV硬化エポキシ)を用いたところ、良好な接着性、加工性が確認できた。フォトリソグラフィープロセス+反応性イオンエッチングによる光導波路化にあたり、レジスト溶剤による電気光学ポリイミドのダメージを避けるためにPVAをバッファ層とした技術を採用し、また、特に紫外線硬化型エポキシ樹脂を透明光導波路部に用い、接合構造の光導波路素子を実現した。センサー構造としては、光ファイバーを組み込むことが必要である。 このように本研究では、電気光学高分子を用いた電磁波センサー作製の見通しを明らかにした。本研究課題の推進により、新しい高分子光機能導波路型デバイスが実現できた。電磁波強度検出用素子としては、今後、光導波路のMZ構造化、およびアンテナ取り付けなどが課題である。
|