研究概要 |
1.能動/受動集積に向けた有機金属気相エピタキシャル(MOVPE)選択成長のメカニズム解明:モノリシック光集積回路作製の基本となるMOVPE選択成長につき,InPおよびGaAsの選択成長膜厚プロファイルを実験から求め,これと2次元シミュレーションを比較することにより,付着確率や拡散係数など重要なパラメータを抽出・決定した.これらを用いれば,選択成長のシミュレーションが行えるので,光集積回路マスクの計算機支援設計が可能となる. 2.選択成長と多モード干渉デバイスに基づく集積型全光スイッチ回路の設計と作製:電子回路の速度限界を超えるために,光による制御が可能な「全光スイッチ」が求められている.ここでは,前項のMOVPE選択成長を利用して,lnP基板上に半導体光アンプと多モード干渉(MMI)カプラ,入出力導波路を集積化し,全光スイッチ回路を試作した.光・光スイッチング実験において消光比改善を達成したので,現在高速動作実証実験を準備している. 3.光集積回路を超小型化する90度光路変換導波路素子の解析と試作:曲線光導波路の曲率半径を小さくできないことが,光集積回路の小型化を阻む一大要因である.ここでは,光路を90度転換する全反射型導波路ミラーの解析を時間領域有限差分法により行い,曲げに起因する損失を最小化する設計を行った.次に,ウェットエッチングまたはECR反応性イオンエッチングにより導波路ミラーを実際に試作し,光学特性を評価した. 4.電界吸収型(EA)光変調器における光誘起屈折率変化を利用した波長変換光回路:EA光変調器に生じる光誘起屈折率変化が偏光依存性を有することを利用して,EA変調器と偏光子からなる極めて簡単な構成で全光波長変化が行えることを実験的に示した.また,EA光変調器を方向性結合配置した新たな全光波長変換回路を提案し,その動作特性の数値解析を行った.
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