研究概要 |
本年度は、実物大フレーム模型を用いた振動制御実験およびビンガムダンパーを用いた慣性力駆動型ダンパー載荷試験装置の実大ダンパー試験装置の開発に関する検討を行った.本研究で得られた主な知見は次の通りである。 1.実物大連結型構造システムのセミアクティブ振動制御実験システムを構築した.また高精度セミアクティブ制御実験を行うためのバリアブルダンパーの制御性能向上のため,制御精度を悪化させる原因を保証するアルゴリズムをプログラムに組み込み,良好な精度でバリアブルダンパーを制御し,要求性能を発揮させることができた. 2.最適制御理論型のセミアクティブ振動制御実験を行い,構造フレームの変位・速度を用いてバリアブルダンパーを制御する状態フィードバック制御を行った.最適制御理論型では,制御目的である1次共振点において十分な制震効果を示し,粘性ダンパー型の実験結果に比べ,最大速度応答において5層フレームで14%,3層フレームで7%の応答低減効果を示す結果を得た. 3.疑似負剛性付加型のセミアクティブ振動制御実験を行い,正弦波地動,実地震動波形入力に対して,負の疑似剛性を発現できるようにバリアブルダンパーの動特性を制御する実験を行った.その結果,粘性ダンパー型の実験結果に比べ,最大速度応答のピーク点において3層ではほぼ変らないが,5層で25%の低減効果を示す結果を得た. 4.ビンガムダンパーを用い,慣性力駆動型ダンパー載荷試験装置の能力制約を考慮した制御方法の開発に関する検討を行った.試験を行う際の入力から応答を予測する手法を提案し,フィードバックを用いた動的載荷条件の変更を可能とする制御法を提案すると共に,その際の試験装置の載荷性能の変化を評価した.
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