研究課題
本研究では、誘電体マトリックス中に金属粒子が傾斜的に分散した部分および金属の極薄膜を有する部分を任意に設け、膜中に入射した光の電界により生じる2次以降の励起分極効果や光の回折による局在化を人為的に制御し、優れた光機能特性を有する光機能ナノ傾斜多層膜を設計・作製することを目的とした。用いた誘電体および金属は、それぞれTiO_2やSiO_2およびAuとし、ヘリコンビームスパッタ法を用いて複合薄膜を作製した。まず、傾斜設計に基づく誘電体-誘電体成膜としてTiO_2-SiO_2薄膜を作製し、得られた薄膜が、狭帯域の特定の波長の光のみを透過するバンドパスフィルター構造を有していることを明らかにした。次に、誘電体、金属それぞれ単体での成膜を行い、それぞれの膜が、平滑で均一である膜が得られることがわかった。誘電体、金属を多層膜とする、量子ドットの試作を試みた結果、母相SiO_2中に金微結晶の析出が確認できる条件の把握ができた。多層構造とすることで積層数すなわち微結晶の総量に対応した形で特定波長における固有の吸収が確認された。多層積層時に異金属の微粒子を交互に積層することで、新たな非線形光学現象の出現や非線形特性のマルチ効果が期待できる。
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