研究課題/領域番号 |
11355031
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
永田 和宏 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (70114882)
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研究分担者 |
金澤 幸 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (80302967)
福山 博之 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (40252259)
須佐 匡裕 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (90187691)
小林 勲 (株)神戸製鋼所, エンジニアリング事業部・開発部, 主任部員
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キーワード | pig iron / low temperature / high oxygen potential / pellet / melting / reduction |
研究概要 |
(1)11年度と12年度では鉄鉱石から生成した還元が炭素を吸収し銑鉄として溶融する反応では、一酸化炭素ガスから炭素が吸収されるという従来の見解とは異なり、固体炭素との直接接触による炭素吸収の方が圧倒的に早い事を明らかにした。その結果、炭材内装マグネタイトペレットの急速加熱では、1350℃で10〜15分程度で銑鉄にまで反応が進行する事を示した。しかも、ペレット内の酸素分圧は初期においてFe/FeO平衡近傍まで上昇し、その後反応の終点ではC/CO平衡まで低下するが、終始これより高い値を示す事を明らかにした。この結果、石炭を使っているにもかかわらず銑鉄中の硫黄濃度、りん濃度は非常に低くなる事を示した。しかし、この反応は吸熱反応のため、熱供給速度が反応を律速してしまうため、実操業ではペレットを1層に並べるとか、混合粉末でも3cm程度にしか詰めないなど、生産効率を上げることが困難であることが判明した。そこで本年度は、新しい熱供給方法を開発し、炭材内装ペレット上にコークスを置き、空気を吸引して、燃焼熱を伝える方法を考案した。 (2)還元鉄が石炭の炭素を吸収・溶解する反応では、それらの接触状況が重要である。鉄鉱石粉と炭材粉末を振動型ボールミルで混合し、それを不活性ガス(Ar)中で加熱反応させた。その時の反応物の消失と生成物の発現の状況を高温X線回折装置でその場観測した。酸化鉄と黒鉛を同時にミリングした場合は、黒鉛粒子が10μm以下になるとFe2O3からFe3O4への還元開始温度が顕著に低くくなる。別々にミリングした後混合したものでは還元温度開始の低下はなかった。このことは、鉄鉱石と炭材粉末が強固に接触する状態が還元開始温度に影響していることが分かった。 (3)FeO単結晶をAr-CO混合ガス中で加熱すると、還元が始り表面に30μm程度の厚さに還元鉄が生成する。この還元鉄層の広がる速度は1050℃を境に高温で速くなる。また、CO分圧が低くなるとその速度は進行と停止を繰り返すことを発見した。その周期は高温ほどまたCO分圧が高いほど短くなり、連続的に反応が進行することが分かった。
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