研究課題/領域番号 |
11355033
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
柘植 新 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (60023157)
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研究分担者 |
渡辺 忠一 フロンティア, ラボ(株), 主任研究員
北川 邦行 名古屋大学, 高温エネルギー変換研究センター, 助教授 (00093021)
大谷 肇 名古屋大学, 工学研究科, 助教授 (50176921)
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キーワード | 昇温熱分解 / ナイロンクレイハイブリッド / 複合材料 / 有機無機ハイブリッド / クレイ |
研究概要 |
本年度は、前年度までに構築した昇温熱分解(TPPy)測定システムを用いて、有機/無機ハイブリッドの一種であり、従来のプラスチック複合材料に比べ耐熱性や機械的強度などが優れた新しいタイプのエンジニアリングプラスチックとして自動車部品などの素材に用いられているナイロンクレイハイブリッド(NCH)の諸物性に密接に関係する、ポリマー/クレイ間の分子レベルでの相互作用の評価を試みた。ここではTPPy法を用いて、粘土種の異なるNCHの熱分解挙動を観測し、ハイブリッド中でナイロン分子とクレイとの間に働いている相互作用の程度や、粘土種の違いがそれらの作用機構に及ぼす影響について調べた。試料には、ナイロン6を基質として、モンモリロナイトやマイカ等のSiO_2・Al_2O_3、あるいはSiO_2・MgOを主成分とする粘土を約2〜10%含有するNCHを用いた。TPPy測定は約0.2mgの試料を、ヘリウム気流中で200〜600℃の温度範囲を10℃/minの昇温速度で加熱して行った。TPPy測定により、いずれの粘土を含むNCHについても、添加量がわずか5wt%程度で主な熱分解生成物であるε-カプロラクタムモノマーの生成が、もとのナイロン6単独の場合と比較して約25%も減少しており、それらの生成の極大温度は、ナイロン6単独の場合に比べて約5〜10℃低下することが観測された。こうした変化は粘土含有量の増加に伴ってさらに顕著になり、粘土-ポリマー間の相互作用の程度が熱分解挙動に反映された結果と考えられる。しかしながら、それぞれの変化の度合は粘土種の違いによってかなり異なるため、ナイロン-粘土間に働く相互作用の程度の違いに加え、粘土の構成成分であるSiO_2・Al_2O_3およびSiO_2・MgOの接触分解に際する触媒効果の差異が、NCHの熱分解挙動に大きな影響を与えていると考えられる。
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