| 研究課題/領域番号 |
11355035
|
|---|
| 研究種目 |
基盤研究(A)
|
| 研究機関 | 東北大学 |
|---|
研究代表者 |
福村 裕史 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50208980)
|
|---|
| 研究分担者 |
深澤 憲正 川村理化学研究所, 研究員(研究職)
朴 鐘震 川村理化学研究所, 研究室長(研究職) (90135658)
畑中 耕治 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (90312545)
|
|---|
| キーワード | 走査型プローブ顕微鏡 / フェムト秒レーザー / レーザー分子注入 / パルスX線 / 高分子 / 光異性化 / アントラセン誘導体 |
|---|
| 研究概要 |
今年度は主として、レーザー誘起物質移動現象をナノメートル領域で観測できる装置の開発に重点を置いた。高分子表面層に分散した蛍光性分子をレーザー励起し移動させ、これをナノメートル領域で観察するため、走査型プローブ顕微鏡コントロールシステムを購入し、これに高感度光電子増倍管を組み合わせて蛍光検出を試みた。この結果、走査型トンネル電子顕微鏡下において蛍光性分子からの発光を観測することに成功した。物質移動を制御するためには、高分子表面層の一次的融解など、系の相変化ダイナミクスを調べる必要がある。このためフェムト秒レーザーを購入し、テーブルトップのパルスX線光源の開発を行った。この結果、空気中3cm程度の距離でも減衰せずベリリウム窓を通過してくる放射線を、新規に購入したX線イメージインテンシファイアにより観測することにも成功した。
レーザー励起により移動させる物質については、アントラセン誘導体、光異性化スピロピラン誘導体などを主として検討した。高分子表面の限られた微小領域に分子を配置する手法として、二つのアプローチを取った。ひとつは開口100nm程度のガラス製マイクロピペットの先端に有機分子を付着させ、ガラス管内に挿入した光ファイバーからのパルス励起光を用いるもので、ジシアノアントラセンによる数100nmの蛍光スポットが高分子フィルム上に形成することがわかった。もうひとつの手法は、パルス光を干渉させて間隔が数100nmの縞模様をつくり、これを用いてレーザー誘起物質移動を行わせることである。この手法によって、光でスイッチング可能な回折格子を試作した。今後は、これらの空間特異的に配置された有機分子をさらにレーザー励起し、独自に開発した上記の観測装置を用いて、制御法開発の基礎を固める予定である。
|
