研究課題
基盤研究(A)
高分子/高分子界面、水面上の高分子組織体、あるいは高分子融体表面のナノ構造を研究するために不可欠な装置である水平型中性子反射率計を設計、製作し、高エネルギー加速器研究機構・物質構造科学研究所の中性子実験施設に設置した。この水平型中性子反射率装置はARISA(Advanced Reflectometer for Interface and Surface Analysis)と名付けられ、測定可能なQレンジは、0.008-0.7Å^<-1>と広範囲にわたり、ダイナミックレンジも6-7桁となることから、自由表面・界面だけではなく、磁性・超伝導薄膜などのハードマターの研究にも十分に対応できる基本性能をもつ装置であることが確認された。本装置の特徴は、スリットにボロンカーバイドを用い寄生散乱を極力抑えるとともに、エッジ部分には設置部位に応じて微妙な傾斜角を付けて反射による迷光を防ぎ、高い分解能が得られるように製作したことである。さらに、試料部のみならずスリットなどの光学系一式を最新式のピエゾ式アクティブサス除振台上に設置し、試料界面の振動を防ぐと同時に、光学系と試料部の相対位置が常に厳密に保たれるように工夫した。また、試料ステージの上には、試料環境オプションとして表面圧の制御ができる液体トラフ、および約200℃までの昇温が可能な高温融体セルが取り付けられるようになっており、様々な自由表面や界面に関する新規なナノ構造解析が可能な実験装置を製作することに成功した。
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