研究課題/領域番号 |
11355040
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
榎本 兵治 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (80005412)
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研究分担者 |
守谷 武彦 東北電力(株), 研究開発)センター・研究員(研究職, 研究員
木下 睦 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (70261592)
金 放鳴 東北大学, 大学院・工学研究科, 講師 (90323039)
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キーワード | 水熱反応 / 超臨界水 / オイルサンド / オンサイト改質 / 低粘度化 |
研究概要 |
SAGD法により230℃程度の熱水と混合した状態で地下から回収されるビチュメンをそのままの混合状態で反応器に挿入し、超臨界水(430℃)中での反応により数万cPのビチュメンを10cPまでオンサイトで低粘度化(軽質油化)する方法は、SAGD法と一体化することにより反応後の熱水から発生させた水蒸気をビチュメンの回収用に利用できるため、(1)油に対して2〜4倍も排出される廃水の処理が不要となる、(2)熱利用効率が高い、(3)基本的には水素ガス・高価な触媒を利用しない、等の利点を有する。この方法はビチュメンを低粘度の原油へ転換することのみをもともとの目的としているが、反応によって副次的に生成する多量の水素ガスを利用するなどにより、高品質の合成原油への転換も期待される。 本研究では、この超重質油について、低粘度化のみならず高品質油化を目標として反応条件を検討するとともに、その結果を基に現有の実験室規模の流通式反応装置を用いて本プロセスの有用性を検証し、実証プラントの設計に必要な基礎的資料を得ることを目的とする。本年度は本研究において改造した流通式反応装置並びに分離装置を用いてプロセスとしての総合評価を可能にするべく高品質改質油製造およびプロセス最適化を目的として反応条件を検討した。 (1)縦型反応器を用いた流通式反応装置において送入された油は超臨界水と混合して改質反応が進み反応管上部から流出する分と反応触媒と均一相にならずに下部に堆積しようとする重質分があることがわかった。このとき、反応管下部より連続的にこの重質分を排出することにより装置の安定的な運転を可能にすると共にトルエン不溶分(コークス)の生成を2%以下に抑えることに成功した。 (2)小型バッチ式反応容器を用いた実験より、金属酸化物の添加が硫黄分の低下に影響することを見出した。 (3)流通式反応容器において縦型反応管長を1.5倍にすることにより,反応を進行させて上部から流出する生成油がより軽質化しており、反応管長さが反応時間に影響していることを明らかにした。
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