研究概要 |
ブチロシン生産菌Bacillus circulansから糖質環化酵素2-デオキシ-scyllo-イノソース合成酵素(DOIS)の遺伝子btrCをクローン化に成功し、E.coilによる大量発現系を樹立した。本研究では特に、光合成の一次生産であり、各種のバイオマス資源でもあるグルコースのDOISによる資源化を目指し、詳細な酵素化学及び環化反応とその応用について検討した。DOISはグルコース-6-リン酸が基質であり、グルコースから直接環化成績体2-デオキシ-scyllo-イノソース(DOI)を生成しうるか、ATPの存在下へキソキナーゼとの併用により酵素反応を検討し、収率38%で期待する反応が生起することを確認した。ついでDOIを有機工業資源として活用するべく、脱水反応による芳香環化を種々検討し、アセチル化条件では1,2,4-トリヒドロキシベンゼン誘導体を与えるが、亜鉛一酢酸あるいはヨウ化水素酸による還元的脱水反応により最高収率59%で工業資源であるカテコールを与えることを発見した。グルコースからカテコールへわずか2工程で変換できた。DOISの基質認識機構をさらに詳しく解明すべく、3-アミノグルコース-及び3-アセトアミドグルコース-6-リン酸を合成して酵素反応を検討し、前者で興味ある反応が進行する可能性を認めた。さらに、基質認識部位として重要と推定しているAsp-135の部位特異的変異酵素(D135A,D135S,D135K)を造成した。その活性は引き続き検討中である。さらに、Bacillus circulansから精製したDOISは41kDa(BtrC)と23kDaの二つのサブユニットからなるヘテロ二量体であるので、後者サブユニット遺伝子をB.circulansに検索して同定に成功した。BtrCホモ二量体とヘテロ二量体では酵素活性と安定性に相違がある。
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