スプライス・アクセプター下流に3者融合マーカーGBT(beta-gal/blasticidin-S dea minase/HSV-tk)をつないだものを挿入したレトロウイルス・ベクターを構築し、これをヒト肺がん由来細胞株(A549)に感染させ、TGF-beta存在下でのみ高く発現する遺伝子の探索を行った。その結果、6個の新規遺伝子を含む15個の遺伝子が検出され、その内の一つTMXが、小胞体に局在する膜貫通型チオレドキシン様分子をコードする事を見出した。一方、radiomimeticであるブレオマイシンを利用した同様のスクリーニングにおいて、2GyのX線に応答する4個の候補遺伝子を検出した。構造解析の結果、そのうちの1つは、既にアポトーシス関連遺伝子として報告されているc-IAP2であることが分かった。そこで、c-IAP2遺伝子の上流プロモーター領域を単離し、ルシフェラーゼをレポーターとしたプロモーター解析を行ったところ、転写開始点より約200塩基上流に位置するNF-kB結合部位がX線への応答性に必要十分であることがわかった。この配列を4回反復させた人工プロモーターの下流にアポトーシス誘導遺伝子Baxをつないだベクターを作成し、これを導入したA549細胞をX線照射したところ、2Gyにおいて有意な細胞死誘導の増強効果が見られた。従って、本プロモーターは、放射線と組み合わせた遺伝子治療の開発に有用であると考えらた。
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