研究課題/領域番号 |
11357014
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
吉本 高志 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (50091765)
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研究分担者 |
斉藤 務 東北大学, 流体科学研究所, 助教授 (00302224)
高山 和喜 東北大学, 流体科学研究所, 教授 (40006193)
高橋 明 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (40301048)
城倉 英史 東北大学, 医学部・附属病院, 助手 (30280879)
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キーワード | 閉塞性脳血管障害 / 脳塞栓症 / 血管内治療 / 衝撃波工学 / 血栓溶解術 / 衝撃波医療 / レーザー医学 |
研究概要 |
脳塞栓症急性期の超選択的血栓溶解術において、使用した血栓溶解剤による出血傾向の増大、血栓溶解術の主要操作のひとつであるpiercing(ガイドワイヤーによって栓子に穴をあける手技)による血管壁損傷の危険、また栓子の中心部の固い血栓の溶解困難性などの問題が存在する。これらの欠点を補うべく、我々はマイクロカテーテル内に誘導した光ファイバー導光のパルスレーザー照射によって発生する気泡と衝撃波の干渉によって生じる液体ジェットで血栓溶解をはかる、ホルミウム・ヤグレーザー血管内衝撃波血栓破砕装置の開発、臨床応用を目指し基礎実験を行ってきた。 実験に使用したレーザーはQスイッチ・ホルミウム・ヤグレーザーである。本装置を比較的低出力で水中照射させ、ファイバー先端で生じる現象について観察を行った。レーザー照射直後にファイバー先端から球状衝撃波が発生しそれが次第に拡大したが、その圧力はファイバー先端近傍で100気圧を超えた。また、ファイバー先端で一過性に水蒸気泡が発生したが、以後縮小し完全に消失した。一方、本装置で得られる液体ジェットを用いた血栓破砕には、より大きな衝撃波と気泡の誘導が必要なため、ファイバー先端の形状に着目しその検討を行った。その結果、ファイバー先端をレンズ状に加工することで、より強い衝撃波と大きな気泡を誘導することができた。以上の結果を踏まえ、直径4mmのガラス管内にレンズ状端面の光ファイバーを挿入、これにホルミウム・ヤグレーザーを導光して発生させた水蒸気泡の後方から火薬の起爆で発生させた衝撃波を干渉させたところ、気泡は変形し液体ジェットが形成された。ガラス管内にゼラチン模擬血栓を封入し同様の実験を行った結果、液体ジェットは模擬血栓に約4mm貫通した。この現象をレーザーの繰り返し発振にて実現させ、in vivoで良好な血栓破砕効果が得られた。今後、現在進行中の基盤研究(衝撃波血栓破砕術用内視鏡の開発)も視野に入れて動物実験を行い、より安全で確実な血栓破砕システムの確立を目指す。
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