研究課題/領域番号 |
11357021
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
網野 信行 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (60028694)
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研究分担者 |
多田 尚人 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (80263242)
葛谷 恒彦 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (80150340)
日高 洋 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (30243231)
佐藤 秀幸 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (70167435)
高野 徹 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (00263236)
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キーワード | 自己免疫性心筋炎 / 抗心臓抗体 / 拡張型心筋症 / 虚血性心疾患 / 出産後発病 / 自己免疫異常 / ミトコンドリア抗体 / 抗平滑筋抗体 |
研究概要 |
研究計画通り順調に進行しつつある。まず心臓に対する自己免疫異常把握のため、自己抗体測定法の確立を試みた。抗体を感度よくかつ幅広く感知できる方法として蛍光抗体法を用い、抗心臓抗体の測定を試みた。48例の健常者人、110人の各種心疾患および35人の膠原病患者を対象に検索を行った。蛍光抗体の染色パターンは3種に分類することができ、またミトコンドリア抗体および抗平滑筋抗体との関連から心臓特異的抗体と交差反応性抗体とに大別が可能であった。心臓特異的抗体は、心臓弁膜症24%、拡張型心筋症29%、虚血性心疾患48%にみられ、対照群は0%であった。心臓弁膜症では交差反応性抗体がより優位にみられた。また心臓特異的抗体は、心疾患の中でも高血圧症や糖尿病を合併している症例により多く陽性がみられた。以上から心疾患において自己免疫現象が高頻度に依存することが明らかにされた。さらに心筋ミオシン、トロポミオシンに対する自己抗体のELISA法の開発を試みた。ミオシンに対する自己抗体の出現率はあまり高くなかった。一方トロポミオシンに対する自己抗体は虚血性心疾患19.4%、拡張型心筋症7.1%、心臓弁膜症18.5%および膠原病15.5%で陽性がみられた。これらの抗体測定法を出産後発症したいわゆる産褥心筋症に応用し、出産後発病した他の自己免疫疾患と同様、心臓自己免疫異常により発症する可能性が示され、出産後自己免疫性心筋炎と名付けた。以上、抗心臓自己抗体の測定法の確立と自己免疫性心筋炎の新しい病態を明らかにすることができた。
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