研究分担者 |
川上 泰雄 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (60234027)
深代 千之 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (50181235)
金久 博昭 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (50161188)
織田 龍夫 アロカ株式会社, 超音波開発部, 主任(研究職)
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研究概要 |
本年度は,新しく購入した超音波画像解析ユニットを用いて,ヒト下腿三頭筋の筋束及び腱組織の配列状態を明らかにする研究を行った.3次元的に内側腓腹筋の羽状角(筋束と腱盤とのなす角度)を測定した結果,遠位部および近位部においては羽状角は小さく筋腹中央部で羽状角が大きい傾向が見られた.この事は,羽状角を比較するときに,測定場所の決定が重要であり,異なる場所での比較は意味が無いことを表す結果であった.また,羽状角は安静時に比較して収縮時には大きくなる傾向を示し,かつ,筋束が長い関節角度(足背屈時)では羽状角は小さく,一方,筋束が短いとき(足底屈時)には羽状角が大きくなる事が明らかになった.関節の角速度と筋束の短縮速度との間には,線形の比例関係は見られず,関節角度により,かつ,角速度により両者の関係は異なることが観察された。この事は,筋活動中に,関節角度から筋線維長を推定できないことを意味し,従来運動生理学の教科書などで言われていた事(関節角度変化が筋線維長変化を表す)を再検討しなければならないことを示唆するものであった.この「関節角度-筋線維長」関係が張力や関節角度に依存することは,筋線維の付着する腱組織の断線特性依存することが考えられた.そこで,関節角度一定状態での筋力を変えたときの腱組織の伸張量を定量し,コンプライアンスを算出する方法の確立に成功した.その結果,垂直とびとか100m走の成績は大腿四等筋のコンプライアンスと有意な関係にあることが解り,この事は筋-腱複合体のコンプライアンスが身体運動の成績に影響することを意味した.
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