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1999 年度 実績報告書

内分泌攪乱物質汚染の評価と浄化 ―酵素P450を利用した生態影響評価法及び汚染環境のバイオリメデイエーション法の開発―

研究課題

研究課題/領域番号 11358009
研究種目

基盤研究(A)

研究機関北海道大学

研究代表者

藤田 正一  北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 教授 (10143314)

研究分担者 星 英之  大阪府立大学, 農学部, 助手 (30301188)
数坂 昭夫  北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助教授 (00002113)
キーワード異物代謝酵素CYP / 環境汚染モニター / 海棲哺乳動物 / 生物濃縮 / ゴマフアザラシ / クラカケアザラシ / CYP1A1 / CYP2B
研究概要

異物代謝酵素P450(CYP)は、体外より侵入してくる汚染物質などの異物にたいする生体防御機構として、微生物から高等動物まで広く生物界に分布している。生体は、ダイオキシンやPCB等の環境ホルモンや異物に対して、異物代謝酵素の誘導という形で応答する。本年度は、海洋生態系食物連鎖の最上位に位置し、生物濃縮による環境汚染物質を体内に蓄積する海棲哺乳動物をモデルとして、それらがもつ異物代謝酵素CYPの変動を複合的汚染のモニター指標物質として用いることの有用性を検討した。
ゴマフアザラシおよびクラカケアザラシとも、皮下脂肪に海洋表面濃度の10億倍、1億倍に濃縮されたPCB、DDTが検出された。これらの汚染とCYP1A1依存の活性には正の相関が認められ、CYP1A1およびその活性は動物のPCB汚染の指標となることが示された。更に、アザラシではCYP2Bがほとんど無く、ラットでCYP2B依存の酵素活性が、アザラシではCYP1A1が触媒していることが明らかになった。この様に幅広い解毒能力を持つ酵素は汚染物質の除去に応用可能であると考えられる。海棲哺乳類の肝臓においてCYP1AおよびCYP3Aサブファミリーに属する分子種の存在を遺伝子レベルで確認した。予想されるアミノ酸配列を用いて他の動物種のCYPを交えた系統解析を行ったところ、鯨類CYPは偶蹄類CYPと、鰭脚類CYPはイヌのCYPと近縁の関係にあることが明らかとなった。更に、クラカケアザラシCYP1A1とイシイルカCYP1A1の代謝能には有意な差がみられ、CYP活性を生体の汚染の指標として用いるにあたり、動物種差、系統差を考慮することの重要性が示された。

  • 研究成果

    (7件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (7件)

  • [文献書誌] Nakamura, A., et al.: "Cytochrome P-450 isoforms responsible for the N-demethylation and cyclohexane-hydroxylation of NS-21"Xenobiotica. 29. 243-252 (1999)

  • [文献書誌] Kim, E.-Y., et al.: "Preliminary survey of lead poisoning of steller's sea eagle (Haliaeetus Pelagicus) and White-tailed sea eagle (Haliaeetus albicilla) in Hokkaido, Japan"Environmental Toxicology and Chemistry. 18 No3. 448-451 (1999)

  • [文献書誌] Shimamoto, Y., et al.: "Decrese in hepatic CYP2C11 mRNA and increase in hemoxygenase activity after intracerebroventricular injection of bacterial endotoxin"J. Vet. Med. Sci.. 61. 609-613 (1999)

  • [文献書誌] Yamamoto, H., et al.: "Mechanism of enhanced lipid peroxidation in the live of Long-Evance cinnamon (LEC) rats"Arch. Toxicol.. 73. 447-464 (1999)

  • [文献書誌] Takahashi, J., et al.: "Characterization of hepatic cytochrome P450 isozyme composition in the transgenicrat expressing low level human growth hormone"Xenobiotica. 29. 1203-1212 (1999)

  • [文献書誌] Yoon, S., Kazusaka, A., Fujita, S.: "FT-IR spectroscopic and HPLC chromatographic studies of CCl_4-induced acute hepatits in rat -Damage in liver phospholipid membrane-"Biospectroscopy. (in press).

  • [文献書誌] 藤田正一編: "毒性学"朝倉書店. 300 (1999)

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公開日: 2001-10-23   更新日: 2016-04-21  

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