研究概要 |
これまでに開発した高温超電導体SQUIDマグネトメータと受動+能動型磁気しゃへい技術を基盤として、心磁図計測応用をターゲットとした計測システムの構築を行った。 1.システム化 心磁図計測を目標とし,簡易磁気シールドルーム(能動型磁気シールドを併用),多チャンネル用のデュワーとガントリ(架台),SQUIDコントローラ,アンプフィルタユニット,ADコンバータ,データ収録装置などからなるシステムを構築した.簡易磁気シールドルームの中央外周に巻いた誘導型コイルを雑音磁場検出器とし,シールドルームの外から補償コイルによりフィードバックする方法と,シールドルーム内の参照マグネトメータの磁束ロック磁場信号を信号マグネトメータのフィードバックコイルに印加する方法を併用して外部磁場雑音を消去した.また,シールドルーム内にコントローラを設置して操作を容易とし,SQUID周辺を完全電磁シールドしてドアを開放した状態でも計測ができるシステムとした. 2.多チャンネル化 磁場雑音用参照マグネトメータと信号用マグネトメータを組み込んだ10チャンネルSQUIDシステムを構築した.上記の雑音除去とデータ収録技術により,1〜100Hz帯域で心磁図のリアルタイム計測を実証した.また、基準肢誘導心電図装置(3チャンネル)を併置してあるので,心電図との同時計測も可能である.試作したシステムは,液体窒素のもつ高い冷却能力のため,窒素の補給に液体ヘリウムのような特殊な技術を必要としない.また,窒素のラニングコストは非常に低く,現在の低温超伝導体SQUIDを使った生体磁気計測装置と比較すると大きな利点でとなることを示した.
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