研究課題/領域番号 |
11359002
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
広領域
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
神谷 正男 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 教授 (30081665)
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研究分担者 |
巖城 隆 鳥取大学, 医学部, 教務員 (70263473)
野中 成晃 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助手 (50281853)
奥 祐三郎 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助教授 (60133716)
森嶋 康之 国立感染症研究所, 寄生動物部, 研究員 (30342893)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2002
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キーワード | エキノコックス / 多包条虫 / 終宿主 / 診断 / 駆虫薬散布 / 疫学 / 糞便内抗原 / 感染源対策 |
研究概要 |
小清水町および小樽市で駆虫薬散布による感染源対策を試行した。使用した駆虫薬入り餌(ベイト)は1)魚肉ソーセージに駆虫薬(プラジクアンテル)の錠剤を差し込んだもの、2)魚のすり身と魚粉を主材料とした機械生産の蒲鉾様ベイトで、キツネの営巣穴周辺、道路沿い、または道路と防風林の交点に散布した。キツネの感染状況の変化は糞便(糞便内抗原および虫卵検査)および解剖検査により判定した。両市いずれにおいてもベイト散布によりキツネの流行状況が抑えられた。一方で、ベイト散布継続の必要性が示され、今後、駆虫効果の向上のための適正な散布時期、密度や頻度等について検討する必要がある。 札幌市では市街地でキツネ営巣地が見つかり、収集した糞便から糞便内抗原および虫卵が検出された。その周辺部からはエゾヤチネズミも捕獲され、都市圏で生活環が維持される可能性が示された。札幌近郊で駆除されたキツネの解剖検査結果と直腸便を用いた糞便内抗原検出結果を比較した結果、糞便内抗原検出法の高い信頼性が示された。 ペットの調査では、1997〜2002年12月までに道内では、犬1,650頭の検査を行い、抗原陽性18頭、虫卵陽性6頭を確認した。虫卵陽性犬はすべて抗原陽性であった。2002年12月には札幌市内で室内飼育犬から初めての虫卵陽性例が確認された。この他、2000年3月の有珠山噴火時の避難住民の放逐犬から糞便内抗原陽性犬2頭を確認している。猫については170頭を検査し、抗原陽性4頭、虫卵陽性6頭を検出しているが、多包条虫卵の排出は認められていない。道外の犬および猫についてはそれぞれ64頭および2頭の検査を行い、犬2頭が抗原および虫卵陽性を示した。このうちの1頭は北海道からの転出犬であった。 以上、エキノコックス症流行における感染源動物の位置づけ・重要性を明らかにし、基本的な感染源対策(汚染環境修復)技術を開発した。
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