研究課題/領域番号 |
11359004
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研究種目 |
基盤研究(A)
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
永野 貞子 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (30075270)
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研究分担者 |
小川 智哉 学習院大学, 理学部・物理学科, 教授 (50080437)
高山 幹子 東京女子医科大学, 医学部・耳鼻咽喉科教室, 教授 (80075481)
芝田 高志 東京女子医科大学, 医学部・解剖学教室, 助手 (70222031)
阿岸 鉄三 東京女子医科大学, 医学部・第三外科学教室, 教授 (70090660)
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キーワード | 超高分解能XCT(MFXCT) / 間葉 / 中耳 / Be窓 / ヒト胎児 / 粘膜ヒダ / 階調分解能 |
研究概要 |
空間分解能数μmの超高分解能XCT(MFXCT)は解剖学の研究に極めて有用であるものの硬組織の測定に限定され、軟組織の検出は困難であった。これは階調分解能が低いためであり、本研究ではこの問題点を克服の研究を目的とした。本年度の研究計画に従い、基本となるMFXCTの設計と製作を行い、X線事故を防ぐ充分な安全対策を施し、解剖学教室内に設置した。 検出器にはイメージインテンシファイアー(II)を用い、8bitではなく12bitのAD分解能のシステムを構築した。従来IIの窓材にはAlが用いられてきたが、これは試料を透過してきたX線のうち、軟組織の情報を多く含む長波長側のX線を吸収・散乱させ、検出系に到達する情報を減少させていた。そこで本装置ではBeの窓材を用いた検出システムの初めての採用を試みた。 胎生10週頃の胎児の中耳は間葉で満たされているが、成長とともに耳管からの内胚葉の嚢(Saccus)の侵入と同時に間葉が溶解し中耳腔(鼓室)が形成、耳小骨や鼓室壁の表面はその粘液で覆われ、遠位端は鼓膜内側になると考えられている。その際、それらの嚢同志が接触した境界領域に粘膜ヒダが形成され、非常に複雑な空間となる。聴覚器の発生・成長を解明する上でこの間葉の溶解(アポトーシス)の実像に基づく形態変化追究は重要課題であるが、3次元的実像に基づく報告は皆無と言えよう。また、この微細な粘膜ヒダは現在の医用CTでは撮影することができないが、中耳真珠腫、慢性中耳炎、先天異常など臨床的にも重要である。 そこで、今回開発したMFXCTを用いて死産ヒト胎児の撮影を試みたところ、明瞭にこれらの腔と粘膜ヒダの追究が可能であることが明らかとなり、日本解剖学会で報告した。 引続き平成12年度の計画に従い、階調分解能向上のためにより分解能の高いADシステムの構築を行い、ヒト遺体での計測を通して軟組織の解像の研究の推進をはかる。
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