研究課題/領域番号 |
11359004
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
芝田 高志 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (70222031)
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研究分担者 |
高倉 公朋 東京女子医科大学, 医学部, 学長 (90109984)
小川 智哉 学習院大学, 理学部, 教授 (50080437)
高山 幹子 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (80075481)
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キーワード | μ-CT / 階調分解能 / 立体再構築画像 / 蓚酸症 / 動脈 / 奇形胎児 / 石灰化 / 糖尿病 |
研究概要 |
超高分解能X線CT(MFXCT,μ-CT)の空間分解能は極めて高いが(数μm)、階調分解能に乏しく、X線吸収差が少ない軟組織間の解像は困難である。この問題の克服ができれば解剖学を初めとする基礎研究から臨床検査に亙り、大変有用な非破壊検査機器となる。 そこで平成12年度は、11年度に設計・製作したμ-CT-即ち、工業用として供給されている最高性能のμ-CT特注装置に相当する-に対し、医学研究用としてハード・ソフトウェア両面から大幅な改良研究を行い、過去に達成例のない21bitAD変換による最高階調分解能のシステムの試作を行った。その他、被曝量の軽減、任意の断層を得るための多軸化など、他に類のない機能や性能も持たせた。 この開発した装置による連続断層像と、立体再構築画像から、解剖学的試料として複雑な形態であるが故に構造解明不可能あった奇形胎児の頭蓋骨、殊に内・中・外耳の異常形態の解析に成功し、個体発生追究の一助とした。 一方、μ-CTによる過去の動脈に関する報告は、何れも造影剤による血管走行を示す鋳型であり、血管壁自体の断層像は得られていなかったが、治療法の確立していない蓚酸症患者の手術により切断された下腿の断層撮影から、本研究により初めて、腓骨、脛骨動脈の中膜が石灰化している像を明らかにした。さらに、動脈硬化症や糖尿病の血管試料の撮影も行い、従来の組織切片作成法では脱落により得られなかった石灰化領域の情報を得る道を開拓したことを一例として示した。 以上、本研究による装置の開発と基礎及び臨床系の検体の計測を通し、X線画像解剖学のツールとしてのμ-CTの質的性能向上をはかり、装置開発の意義と今後の技術的問題点を明確にし、将来、臨床応用可能な機器とするための基盤データを得た。短期間の為、現時点での論文数は少ないが、国際会議口演の招待を受け、成果が注目、今後、今後さらに研究の継続を行いたい。
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