プラトン主義の伝統における継承と変容-思想の時代超越性と時代依存性の研究-

1999 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 11410002
• 研究種目: 基盤研究(B)
• 研究機関: 神戸市外国語大学
• 研究代表者: 小浜 善信 神戸市外国語大学, 外国語学部, 教授 (10124869)
• 研究分担者: 野町 啓 茨城県立医療大学, 保険医療学部, 教授 (20003238) ; 岡崎 和子 北陸大学, 外国語学部, 助教授 (80288315) ; 田中 敏彦 神戸市外国語大学, 外国語学部, 助教授 (00197451) ; 奥田 和夫 法政大学, 文学部, 助教授 (60277689) ; 今 義博 山梨大学, 教育学部, 助教授 (30115315) ; 松崎 一平 富山大学, 人文学部, 教授 (90199779) ; 大森 正樹 南山短期大学, 人間関係科, 教授 (70132264) ; 岡崎 文明 金沢大学, 教育学部, 教授 (20117005) ; 山口 誠一 法政大学, 第一教養部, 教授 (10166613) ; 加藤 守道 東北大学, 教育学部, 教授 (40214407)
• キーワード: 発出 / 創造 / 一者 / 御言 / イデア / 時間 / 魂(霊魂) / 始原

研究概要

西洋哲学史全体はプラトン主義の注解史であったと言われることがある(ニーチェ、ホワイトヘッド)。しかし、プラトン主義が各時代にどのように継承され、またどのような変容を受けたかということについての研究は、じつはわが国においてはもちろんのことヨーロッパにおいても少ない。われわれは、そもそもプラトン主義とは何かを解明しようと意図すると同時に、とりわけプラトンの後継者と自認するプロティノスに始まる新プラトン主義に焦点を当ててプラトン主義の継承と変容の具体相を全時代に亘って明らかにしようとしている。われわれはすでに『ネオプラトニカ 1』(昭和堂、1999年)においてその研究成果の一端を公にしている。2000年度はプラトン主義、新プラトン主義、そしてそれらに関わる諸思想について、各メンバーがそれぞれの担当分野において研究を深めた。本報告書に添付された「研究発表論文・図書」に見られるように、ほとんどが従来わが国で知られることの少なかったか、あるいは軽視されてきたと思われる問題をテーマとし、これらの研究によって、プラトン主義の、ひいては西洋思想・文化の豊な新しい側面が明らかになりつつある。われわれの研究の一部は近刊の『ネオプラトニカ 2』(平凡社、2000年)においても提出されるはずである。
なお、研究を進めるうえで、各メンバーによるパソコンなどの電子機器の整備および研究資料の購入、そして綿密な研究打ち合わせは不可欠であったが、これらのために科研費は大いに活用された。より一層の研究の進展が期待される。

研究成果

• [文献書誌] 奥田 和夫: "欲望の増大-プラトンの『国家』第八巻第一章〜第九巻第三章(543A-576B)に関する研究ノート(I)"法政大学文学部紀要. 45号. 1-16 (2000)
• [文献書誌] 大森 正樹: "祈りの系譜(5)-ヘシカズム研究・・・フォティケーのディアドコス(2)"エイコーン. 21号. 40-48 (1999)
• [文献書誌] 大森 正樹: "否定神学は肯定神学の裏返しか?-否定神学の現代的意義-"南山短期大学紀要. 27号. 213-232 (1999)
• [文献書誌] 岡崎 文明: "近代科学と哲学-科学的世界観の構築性-"日本海重油汚染にみる総合的環境防災とリスクマネジメントに関する研究集会(京都大学防災研究所編). 271-278 (1999)
• [文献書誌] 今 義博: "エリウゲナにおけるテオファニアの生成"山梨大学教育人間科学部紀要. 1・2. 174-182 (2000)
• [文献書誌] 加藤 守道: "プロタゴラスと民主主義"東北哲学会年報. 15号. 1-13 (1999)
• [文献書誌] 山口誠一: "ディオニュソス的絶対者の謎-ヘーゲルから東洋への地下通路を踏み歩く-"慶応義塾大学『日吉紀要』(人文科学). 14. 1-20 (1999)
• [文献書誌] 山口誠一: "行為の根源(二)"法政大学教養部『紀要』. 109. 47-72 (2000)
• [文献書誌] 田中敏彦: "様々な他者-ドゥルーズの他者論をめぐって"神戸外大論叢. 50-4. 1-34 (2000)
• [文献書誌] 野町 啓: "謎の古代都市アレクサンドリア"講談社. 205 (2000)
• [文献書誌] 大森 正樹: "東方憧憬-キリスト教東方の精神を求めて-"新生社. 284+10 (2000)