プラトン主義の伝統における継承と変容-思想の時代超越性と時代依存性の研究-

2001 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 11410002
• 研究機関: 神戸市外国語大学
• 研究代表者: 小浜 善信 神戸市外国語大学, 外国語学部, 教授 (10124869)
• 研究分担者: 大森 正樹 南山大学, 人文学部, 教授 (70132264) ; 岡崎 文明 金沢大学, 教育学部, 教授 (20117005) ; 山口 義久 大阪府立大学, 総合科学部, 教授 (30118004) ; 山口 誠一 法政大学, 第一教養部, 教授 (10166613) ; 加藤 守道 東北大学, 教育学部, 教授 (40214407)
• キーワード: 神名 / テオファニア / グノーシス / 神学 / 時間 / 永遠 / イスラーム / multiculturalism

研究概要

ヨーロッパ哲学は肯定的な意味合いでも否定的な意味合いでもプラトン主義の注解史であったと言われる。われわれは、ヨーロッパ哲学の根幹をなすプラトン主義の継承と変容の具体相を解明しようと意図している。そのために、古代から現代に至るまで、また西洋から中近東という広がりの中で、源流としてのプラトン哲学とプロティノスに始まる新プラトン主義哲学の継承と変容の具体相を検討してきた。プラトン哲学を継承しつつ、アリストテレス哲学をもその中に取り込む新プラトン主義哲学は、イスラーム圏の哲学者たちにも伝えられ、イスラーム哲学形成の土台となった。本報告書に添付された「研究発表図書・論文」は、そのような新プラトン主義哲学の継承と変容の具体相をさらに解明するのに資する重要な、本邦に初めてもたらされた成果をも含んでいる。われわれは近く「新プラトン主義研究」という研究誌を公刊する予定であり、これはわが国においてはもちろんのこと、国際的にもユニークな研究誌になると思われる。研究のさらなる進展と成果達成のため、各々の研究分担者は、主に研究図書・資料の購入、そして綿密な研究打ち合わせを行った。研究対象・領域が広い時空間に及ぶため、各メンバーの所属は全国に亘らざるを得ず、科研費なしでは到底われわれの研究は遂行できなかったと思われる。各メンバーが可能なかぎりの成果を出せるよう期している。

研究成果

• [文献書誌] 大森正樹: "東方教父における神現と神名解釈の問題"中世思想研究第43号. 43. 51-68 (2001)
• [文献書誌] 大森正樹: "祈りの方法論-『フィロカリア』における伝「新神学者シメオニ」と二つの不詳の著者による論殊を中心に-"南山神学. 25. 67-90 (2001)
• [文献書誌] 山口誠一: "哲学の始まりをめぐって-哲学史講義の迷走-"法政大学教養部紀要. 120. 1-25 (2002)
• [文献書誌] 今 義博: "テオファニア概念の形成-エリウゲナによるアウグスティヌスとマクシモスの援用-"山梨大学教育人間科学部紀要. 2・2. 97-106 (2001)
• [文献書誌] 加藤守道: "Come un uomo si fa un dio : un'interpretazione del mito di atteone"Cosmologia, teologia y religion en la obra y en el proceso de Giordano Bruno. 149-158 (2001)
• [文献書誌] 加藤守道: "Cusanus and Multiculturalism"Nicholas of Cusa : A Medieval Thinker for Moder Age. 249-256 (2001)
• [文献書誌] 松崎一平: "生徒と教師-アウグスティヌス告白第6巻から"ほけかん. 24号. 1-4 (2001)
• [文献書誌] 今 義博: "ギリシア哲学の存在論とラテン中世"カルキディウスとその時代. 77-97 (2001)
• [文献書誌] 小浜善信: "時間と永遠"九鬼周造の世界. 77-111 (2002)
• [文献書誌] 山口義久: アリストテレス入門. 1-222 (2001)
• [文献書誌] 山口義久: クリュシッポス「初期ストア派断片集2. 430-584 (2002)
• [文献書誌] 堀江 聡: アラビア語版「アリストテレスの神学」第十章. 第33号. (2001)
• [文献書誌] 野町啓: "グノーシス・陰の精神史所収流離と回帰-救済モデル-"岩波書店. 47-57 (2001)