研究課題
基盤研究(B)
本年度は、研究テーマである『近代国民国家における『記憶』の総合的研究』を、『記憶と歴史』というテーマに絞り込んで研究を進めることにした。そのもとで、(1)記憶術としての歴史叙述についての思想的理論的研究、(2)近代国民国家形成と記憶-パブリックメモリーとヴァナキュラーな記憶-、(3)戦争の記憶-とくに第二次世界大戦とベトナム戦争をめぐって-、という三つの研究の柱を立て、各研究分担者は1乃至2の研究グループに属することとし、各班がそれぞれ研究を進めると同時に、(1)ピエール・ノラ『記憶の場所』の提起するもの、(2)「記憶」をめぐる思想的理論的問題整理、(3)第二次大戦後のポーランドにおけるユダヤ人の記憶、(4)パブリックメモリーとヴァナキュラーな記憶-J.ボドナーの議論をめぐって-、(5)パトリック・ハットン『History as an Art of Memory』をめぐって、の合同研究会を開催し、研究発表を中心に相互に議論を積み重ねた。年度最後に、他大学、外国からの研究者を招聘してかなり大きな研究集会を開き、発表・討論をおこなった。研究分担者の発表は4本。それらの研究成果は研究分担者の多くが所属する東京外国語大学海外事情研究所の紀要雑誌『Quadrate』第二号(2000年3月発行)に発表される。次年度は、本年度の研究テーマの一つであった『戦争の記憶』をめぐってさらに研究を深める計画を立てた。なかでも第二次世界大戦中のアジアの戦争とその記憶、植民地主義の記憶、それらを基底に置いた「国民的」意識の形成などに焦点を当てるつもりである。
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