研究課題/領域番号 |
11410015
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
美学(含芸術諸学)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
森谷 宇一 大阪大学, 文学研究科, 教授 (70033181)
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研究分担者 |
渡辺 浩司 大阪大学, 文学研究科, 助手 (50263182)
加藤 浩 大阪大学, 文学研究科, 助教授 (00204488)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2001
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キーワード | 弁論術 / 詩学 / 発想 / ギリシア / アリストテレス / キケロー / ドライデン / 西洋古典学 |
研究概要 |
「古代弁論術(レトリック)の理論と実践に関する歴史的・体系的研究」と題する今回の共同研究は、研究代表者及び分担者と研究協力者が同一の研究機関に属しているため、ほとんど常時の活発な討論によってたがいに研究上の刺激を得てきた。こうした討論によって、まず、弁論術の草創期からすでに、「技法」としての弁論術と修辞としての弁論術との二つの流れがあったことが明らかになった。次に、詩学と弁論術とを区別する従来の研究方法が誤りであり、両者を統一的にとらえる視点の必要性が明らかにされ、この視点から弁論術の歴史を読みなおすことがおこなわれた。さらには、イギリスのドライデンの詩画比較論において、弁論術の「発想」概念が詩的霊感論、天分論、イデア論と結びつき、「天才」による「独創的」な「発想」という近代的な芸術観が生じたことが明らかになった。キケローの「最も優れた弁論家について」が初めて邦訳されたのも今回の共同研究の成果である。また三回にわたる海外調査・研修によって、古代弁論術の成立基盤としての地中海的風土や西洋古典文学の風景表現におけるレトリック的要素について、少なからず知見を深めることができた。さらに特筆すべきは、この共同研究が機縁となって、古代弁論術の最も重要な体系的集成であってほとんど未邦訳であるクィンティリアヌス『弁論家の教育』を共訳・出版する企画が具体化したことであって、目下そのための作業が進行中である。
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