研究概要 |
知覚統合に関与する脳内過程をfMRIおよびMEGを用いて解析し、下記の研究成果を得た。 1.MEGによる解析 (1)主観的輪郭線に対する脳磁反応は潜時80ms〜150msでV1近傍に生じ、図地分節に関与する反応は潜時150ms〜250msでV3/V3A近傍に発生することが分かった。また、色格子刺激に対する脳磁反応は潜時約100msでV1近傍に、潜時約130msでV4近傍に生じることが分かった。 (2)コントラストの周辺抑制という知覚現象に相関した脳活動の抑制がV1/V2で生じることを発見した。ただし、抑制量は知覚的効果の大きさとは一致せず、高次の視覚野の関与が示唆された。 2.fMRIにより解析 (1)三次元形態認識のための中間特徴の抽出部位LO, dLOG, IPSが関与していることがわかった。 (2)計算論的ニューロイメージングの実現に必須となる解析ソフトウェアシステムを開発し、色対比現象の脳内過程を解析した。その結果、色対比機構はV1〜V8の段階的な情報処理でなされることが分かった。 3.特徴情報統合過程の心理物理学的解析とモデルへの展開 (1)オプティカルフロー知覚の数理モデルを提案した。また、方向が異なる運動要素はベクトル加算的に知覚統合されること、その統合様式は時間周波数に大きく依存することを心理実験によって発見した。 (2)ヒトの図地分離機構の数理モデルを対称軸の概念に基づいて構築し、その妥当性を心理物理学的実験とVEP実験により検証した。
|