研究課題/領域番号 |
11410028
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
大渕 憲一 東北大学, 大学院・文学研究科, 教授 (70116151)
|
研究分担者 |
福野 光輝 東北大学, 大学院・文学研究科, 助手 (30333769)
菅原 郁夫 名古屋大学, 大学院・法学研究科, 教授 (90162859)
|
キーワード | 社会的公正 / 社会制度 / 社会政策 / 公共事業 / 地域紛争 / 紛争解決 |
研究概要 |
公正の絆仮説とは、組織や集団による決定が公正に成されたと知覚することが人々の組織や集団に対する肯定的態度(集団コミットメント)を強めるというものである。本研究では、目本の杜会システムに対する一般市民の評価と態度を分析することによってこの仮説の検討を目指した。全国16地区の選挙人名簿から任意抽出した成人3,000人に対する郵送調査によって、日本の社会システムと公共事業政策に対する公正評価を調べた。分析焦点のひとつは杜会的公正に関する水準感の比較で、マクロ(国民全体)、ミクロ(自分自身)、地域集団、職業集団などの水準間において公正評価は強く連動していたが、相互に一定の独立性も見られた。これら公正感は回答者の国に対する結びつきを強め、一方、抗議行動を減少させるなど、絆仮説を支持する知見が得られた。公共事業に関しては地域紛争の解決手続きの選好に焦点を当てて分析を行ったところ、行政主導の選好は低かったが、効率性を重視する回答者や行政による手続きが公正であると評価する回答者はこれを支持する傾向が見られた。一方、手続き的公正が満たされない場合には、直接交渉や調停などによって解決過程へのコントロールを住民に取り戻そうとする傾向が見られた。
|