研究概要 |
再帰の機構については、再帰的思考を要する2つの課題(帽子問題、天秤問題)を用いた実験を大学生を対象に実施した。その結果、再帰は、一般項の理解ならびに思考の節約(1,2,...Nと一般化しても正答率が低下せず反応時間が増大しない)、及び、課題間の転移(同型の課題の正答率を指標とする)の効果があることが確認された。 アナロジーの機構については、第1に、数学的問題解決におけるアナロジー的転移の機構を明らかにするために、(a)知識の表象レベルを操作する実験によって転移課題における誤りを分析し、(b)応用問題作成課題において、初心者(文系大学生)と熟達者(理系大学生)が、例題からどのような類推を用いて問題を作成するのかを検討した。第2に、洞察的問題解決における創発的思考を明らかにするために、「九点問題」を用いて、補助線や教示が洞察過程に及ぼす効果を実験的に検討し、シュミレーションを進めている。
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