研究概要 |
11年度(初年度)は自己制御学習の今日的意義を歴史的・理論的に検討した後(その成果は森敏昭が『学習開発研究』の論文として発表した),自己制御学習に関する調査研究と実験的研究を実施した。調査研究(森敏昭・石田潤が担当)では,大学生の自己制御学習能力を測定するために,課題意識・主体性・学習方法・自己評価・計画性・自主性・自己実現の7つの下位尺度からなる新しい尺度を作成し,全国の7大学768名の大学生を対象に調査を実施した。この調査では,大学生の現在の自己制御学習能力だけでなく,中学時代および小学時代の自己制御学習能力も回想法により調査し,さらに学習目標,原因帰属,自己効力感,暗黙の知能観に関する調査も実施し,これらの要因が自己制御学習能力の発達に及ぼす影響を分析・検討した。この調査研究の成果は12年度の日本教育心理学界および日本心理学界で発表し,論文にまとめて学会誌に投稿することを準備中である。 実験的研究では,自己制御学習の認知心理学的メカニズムを調べるための実験を3つ実施した。すなわち,「マルチ・プライムの提示が意味的プライミングに及ぼす影響」に関する実験(岡直樹が担当),「既有知識の検索が学習に及ぼす効果」に関する実験(岡直樹が担当),「ウチナーグチの理解と記憶」に関する実験(桐木建始が担当)の3つである。これらの実験により,種々の認知課題を遂行する際の自己制御学習のメカニズムをかなり明らかにすることができたので,この実験研究の成果は,12年度の日本教育心理学界および日本心理学界で発表し,論文にまとめて学会誌に投稿することを準備中である。
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