青森モータースクールの協力により40名の中高年ドライバーを対象に実験を行った。実験内容は、運転歴、運転態度、日常の運転生活などの質問紙に加え、ハザ-ド知覚テスト、実走行による評価、アルツハイマー診断テスト(CERAD)、有効視野測定の5項目である。実走行テストについては走行前にドライバー自身による評価について20項目を4段階評価法にて記入を求めた。さらに同じ内容の評価表を用いて、走行後モータースクールの指導員による評価を行った。主な結果は以下のとおりである。 1、ドライバーの自己評価は年齢とともに高くなり、いわゆるオプティミズムバイアスの傾向が認められた。指導員の評価と比較すると、ドライバーの自己評価では個々の評価項目全般にメリハリのない平坦な評価であるのに対して、指導員の評価は評価項目によって変動が大きく、運転行動の諸側面について十分に識別された評価が認められた。 2、指導員による評価とドライバー自身の評価のずれを年齢別に見ると、高齢になるにつれて過剰な自己評価傾向の増加が認められた。特に高齢ドライバーにあっての過大評価は不安全行動につながる可能性があるだけに正しい自己評価訓練が求められる。 3、運転行動の諸側面のうち、安全確認行動が高齢者においては低い評価であった。高齢者の事故統計をみると安全不確認による事故の多発が認められており、この点は今後の高齢ドライバーの安全教育においてとくに重要項目として取り入れられる必要がある。 4、痴呆症診断テスト結果と運転行動との関連を見ると、ここでも安全確認行動得点と関連性が認められた。
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