研究概要 |
本年度は基本的に収集したデータの分析をおこない,同時に聞き取りデータの整理をおこなった。また,鹿児島県日吉町の調査協力者への情報還元として,感構意識構造についての3地域比較レポートを刊行した。 日吉町の最大特徴としては,他地域に比較して親子の絆に非常に高い評価が与えられていたことである。また,感情表出スタイルとしてはなんでも開けっぴろげに表出する傾向が見られた。 新しい活動としては,現在50歳以上の人たちが受けてきたしつけ教育と比較するために,現在の学生たちが親からどのようなしつけを受けてきたかについての調査をおこなった。この調査は現代青年が子ども時代にどのような親子関係にあったのかを,学生の回想をもとに分析したものである。 それによると,男子学生は勉強に関連して父親から叱られ,次いで生活態度に関連した内容で叱られていた。女子学生は,父親からも母親からも,生活態度に関連した内容で一番多く叱られ,母親からは家事や手伝いに関連した内容で叱られていた。男子学生は,家事や手伝いに関連して叱られることが少なかった。男女ともほめられることが少なく,叱られることの方が多かった。父親の年齢を50歳以上と以下に分け,しつけの内容を検討したところ,50歳以下の父親は,家事・手伝いに関連した内容で子どもに多くの注意を与えていた。ほめる行動において,50歳以下の父親が勉強関連で子どもをよくほめており,50歳以下の男性を配偶者とする母親も,勉強で子どもをよくほめていた。ほめられた記憶がないと回答した学生の父親は50歳以上に多かった。母親からほめられた記憶がないという学生も,50歳以上の男性を配偶者とする母親に多かった。
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