平成11年度に小学校児童の交通事故を分析し、危険場面および危険行動を抽出した。これをもとに「あぶないのどれかな?」のテストを作成した。11年度は、12場面(練習も含む)であったが、12年度は、特に昨年正答率の低かった信号の問題や難易度が高いと思われる問題等4場面を追加し、合計16場面のテストを作成した。また、昨年度はシールを貼らすことで交通状況のハザード対象を特定させたが、今年度はより難易度を上げるため、画面の最後の映像が消える「前景消去法」で行い、ハザード対象の番号を回答させた。テスト実施は平成12年10月であり、三重県鈴鹿市立の小学校1年生から6年生までの児童283名が回答した。さらに、3年生から6年生205名に対して、日常交通行動の質問紙調査も行った。 ハザード知覚テストの平均正答率は、1年生が55%、2年生61%、3年生71%、4年生73%、5年生75%、6年生77%となり、学年の上昇と共に正答率も上昇するという結果であった。3年生以上は約70%の正答率であり、基本的なハザード知覚能力は、3年生になるとほぼ備わる傾向にあった。問題別に見ると、全学年とも後退灯やウィンカーの意味、信号交差点を理解していないために、ハザード対象がどれかよく分からないという結果であった。上級年次生はおおむね理解力が高く、基本的なハザード知覚能力があると推定できる。低学年児童は危険に直接関係なくても、動きの大きい目立つ対象に注意が奪われ、目立たなくても危ない対象を見逃す傾向があった。また、日常交通行動質問紙調査は、低学年児童の方が安全行動をとりやすく、高学年児童の方が危険行動をとるという傾向を示した。高学年児童はハザード対象をほぼ正確に理解している一方で、危険な行動を知りながらあえて行う行動傾向であると言える。今後は、ハザード知覚能力とリスクテイキング行動の関連性について分析を行う。
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