研究課題/領域番号 |
11410044
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
社会学(含社会福祉関係)
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
町村 敬志 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 教授 (00173774)
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研究分担者 |
木本 喜美子 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 教授 (50127651)
中筋 直哉 法政大学, 社会学部, 助教授 (00262064)
園部 雅久 上智大学, 文学部, 教授 (00154716)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2001
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キーワード | 開発 / 語り / 地域開発 / イメージ生産 / 社会史 / 歴史社会学 |
研究概要 |
20世紀はしばしば「開発」の世紀と指摘される。本研究は、1956年に完成された佐久間ダムの国家的・地域的双方のインパクトに焦点を絞ることにより、20世紀後半の日本における地域開発の歴史的帰結とその社会文化的意義を検討することを課題とする。とくに、「開発」現象が人々の日常生活のなかで構築されていく過程を明らかにするために、ここで私たちは、近年急速な発展を遂げてきた、日常世界の構成に関する「語り」分析の手法を採用した。開発に関連した多くの文書資料に加え、口述資料、民話や昔話、映画や視覚イメージが組織的に収集され、それをもとに、「開発」がどのような「夢」語りや表象に基礎を置きながら広範な人々を動員していったのかを、さまざまな角度から研究をした。その結果、次の諸点が明らかにされた。 1)しばしば孤立事例と見なされる目本の戦後地域開発は、実際には、戦前期の植民地開発、アメリカのTVA、ソ連の国土総合開発などと深い関係をもつ20世紀型プロジェクトのひとつであった。 2)地域開発が全国に拡大していく背景には、映像や語りを通じた、全国規模による開発イメージの生産・流通過程が存在していた。1960年代から多くのメディアが、企業をスポンサーとするプログラムの生産に深く依存していくようになるが、その中から、開発に対抗する映像を作り出す作家たちが1970年代に生まれ、公害や社会運動を主題化していった。 3)戦後開発がもたらした地域的利益は、もはや地域を統合する力を失いつつある。地域アイデンティティを形成する新しい試みが、地域レベルの新しい表象生産という形をとりながら、現在進行している。
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